ルードヴィッヒ・エルク
Ludwig Erk(1807-1883)は、中部ドイツ・ヴェッツラーに生まれた。オルガニスト、合唱指揮者、音楽学者、教師として活躍しベルリンで没した。
最大の功績は民謡の研究だ。近代ドイツ民謡学の巨星である。ほぼ50年にわたってドイツ各地の民謡を収集し、整理体系化を行った。断片まで数えれば20~30万の旋律とテキストを収集したと考えて良い。
- 網羅的な民謡の収集
- より始原に近い形の特定
膨大なエルクの業績を無理矢理要約すると上記の2本の柱になる。1913年にフライブルクに「ドイツ民謡文庫」が設立されるなど、エルクの壮大な構想は、本人の没後にも弟子たちによって継続されて現在に至っている。とりわけ現在流布する民謡のオリジナルの姿を突き止める姿勢は、比類がない。民衆の間に流布する民謡には多くの場合、作詞者作曲者がいることを突き止めた功績は大きい。
イメージとしては、ブラームスの友人フィリップ・シュピッタがバッハ研究において成し遂げたことをドイツ民謡の分野で達成したと考えて良い。扱った民謡の量、収集対象となった地域の広さ、整理分類の手法、作業の膨大さと緻密さなどどれをとってもシュピッタに比肩する功績だと感じる。
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