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2011年9月13日 (火)

アルプホルンのファ

ドイツ民謡を調べていて興味深い情報をキャッチした。アルプス民謡に特異な音階は、第4音が半音高められているらしい。「C」を基準として4番目の音だ。通常のハ長調だと「F」なのだが、これにシャープが付与される。半音高められたこの「ファ」が、「アルペンホルンのファ」と呼ばれているという。アルプス地方の民族楽器アルペンホルンはバルブも指穴も無いから、出せるのは倍音だけだ。「C」を基準とすると下記の通りになる。

  •  2倍音 C
  •  3倍音 G
  •  4倍音 C
  •  5倍音 E
  •  6倍音 G
  •  7倍音 B
  •  8倍音 C
  •  9倍音 D
  • 10倍音 E
  • 11倍音 Fis
  • 12倍音 G
  • 13倍音 A
  • 14倍音 B
  • 15倍音 H
  • 16倍音 C

もちろん平均律との誤差は大なり小なり含まれるが、見ての通りここまでの倍音列に「F」音が出現しないことをもって、「アルプス音階」が説明されている。「C」から始めて「F」を「Fis」に置き換えた音階だ。あるいは「F」から白鍵だけをたどってオクターブ昇るとも言える。そうなるとそれは教会旋法のリディア調と一致してしまう。

ブラームスの第1交響曲第4楽章。歓喜の歌を導く「Piu Andante」は、クララ・シューマンの誕生日に贈ったアルプスの歌がズバリ引用される。30小節目のホルンだ。何の予備知識無しに聴いても、それとなくアルプスっぽい旋律だが、その5小節目の4拍目に「Fis」音が出現する。その場所チェロとコントラバスが深々と「C」を引き延ばしているから、何となく本日話題の「アルペンホルンのファ」のような気がしている。 

そしてそして、今日がクララの誕生日であるという毎度毎度の小細工。

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