言語孤島
ドイツ語「Spracheinsel」の和訳。言語分布の一形態として、周囲を他言語に囲まれた地域を指す。主に政治的な圧迫により発生した民族の移動により起きるとされている。先に述べた「方言周圏論」では説明が出来ない。周囲を別言語の領域で囲まれているために、「方言周圏論」で言う文化の伝播から隔絶されている。分離が起きた当時の古いドイツ語が、長く保存されている他、ドイツ民謡の宝庫にもなっている。
現在のクロアチアの首都ザグレブ付近は、古来言語学者たちから注目されてきたドイツ語の言語孤島らしい。ベルリンの南東、ポーランド国境のコットブスは、周囲をドイツ語に囲まれたスラブ語の言語孤島として知られている。
さらに現在のチェコ共和国の首都プラハの南東180Kmにイフラヴァ(Jihlava)がある。この街は古くはイーグラウ(Iglau)と呼ばれていた。ここもまた本日話題の言語孤島として有名だ。周囲をボヘミア語またはモラヴィア語に囲まれたドイツ語の言語孤島だ。オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の政策により、ドイツ語圏のユダヤ人がイーグラウに集まったことによるものらしい。
1860年末、わずか生後5ヶ月のグスタフ・マーラーも、家族とともにイーグラウに移り住み、少年時代をこの街で過ごすことになる。
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