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2011年11月 9日 (水)

Gluckauf

「Gluck」の「u」はウムラウトだ。これで「やあ」とか「ごきげんいかが」などという訳が当てられている。「Gluckauf、der Steiger kommt」という民謡がある。「やあ、鉱夫がやってくる」くらいの意味だ。18世紀初頭の鉱山歌集に採録されているが、作者不詳だ。

曲を聴いて驚いた。WoO31-11の「子守唄」に似ている。山男たちの愛唱歌の割にはと言っては悪いが、敬虔な感じがする。

それもそのはずだ。「Gluckauf」とは坑内に入って行く鉱夫たちに「ご無事で」と声をかけるニュアンスなのだ。落盤や浸水の危険と背中合わせの過酷な仕事に向かう者たちを送る歌だった。本日話題の「Gluckauf、der Steiger kommt」という歌は「さあ行くぞ」と士気を鼓舞する側面よりも、「無事に上がって来れますように」という祈りが勝ったニュアンスだ。

元鹿島アントラーズのディフェンダー内田篤人が所属するのはドイツブンデスリーガ1部のシャルケ04だ。ホームタウンはルール工業地帯の鉱山の街ゲルゼンキルヘン。現在のホームフィールドはヴィルテンスアレナだが1928年から1972年までは「Gluckauf Stadion」だった。そう本日話題の「Gluckauf」だ。シャルケは若い鉱夫たちによって開設されたクラブでオールドファンは選手のことを「Die Knaben」(若い鉱夫たち)と呼ぶらしい。すっきりとした辻褄。

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