MDG
ドイツのCDレーベルの名前。「Musikproduktion Dabringhaus und Grimm」のイニシャルだ。DabringhausさんとGrimmさんの共同経営らしい。何と申しても本社所在地がデトモルトというのがおしゃれである。
さてさて、小さな街の田舎レーベルかと思いきやとんでもないグッドジョブに出会った。「Das Lieben bringt gross Freud」というタイトルのアルバム。演奏者はアマルコルドAmarcordという男声五重唱(テノール2、バリトン1、バス2)と、ライプチヒ弦楽四重奏団のジョイントで、20曲のドイツ民謡が演奏されている。
これだけでも十分驚きだ。
ジョイントと言っても両者の共同演奏は全20曲のうち3曲だけ。「菩提樹」の男声五重唱の弦楽四重奏伴奏が聴ける。
以下8曲は弦楽四重奏だけの演奏だ。以下に曲を示す。
- Das Fuchslied
- Das Schwabische Brunnele
- Muss i denn
- O du lieber Augstin
- Ist mir alles eins
- Ach, wie ist's moglich denn
- Loreley
- In eine Kuhle Grunde
いやいやお宝。編曲はモーリッツ・ケッセマイヤーという人。1831年生まれで1884年に没したからブラームスと重なっている。ウィーン宮廷歌劇場のヴァイオリニストでのちに指揮もした。音楽之友社刊行の「ブラームス回想録集」第2巻40ページ。ホイベルガーとの会話の場面で、ブラームスがケッセマイヤーの葬儀に参列したことが明らかとなる。「光り輝く音楽家、善良なる人物、栄えある同胞」というのがブラームスの見立て。作曲や編曲にも才能を見せたらしく、名高いドイツ民謡を弦楽四重奏に編曲している。ここにある8曲も超有名どころだ。1番は大学祝典序曲の中にも出てくる「新入生の歌」だ。編曲も凝っていて飽きさせない。
アマルコルドはライプチヒ・トマス教会の少年合唱団の出身者らしく、ライプチヒ四重奏団とはライプチヒつながりの競演だ。技あり連発の嬉しいCDである。
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