民謡CDベスト10
ブログ「ブラームスの辞書」では、おすすめCDネタは原則として取り扱わない。誰それの演奏がお勧めですという系統の話題だ。CDに収められた演奏の好き嫌いはともかく優劣なんぞ公言出来はしない。演奏家ごとの細かい違いをキチンと聞き分けられていないから、自信を持ってお勧めというわけには行かないという恥ずかしい理由。CDランキングも同様だ。
ところが本日はその例外。我が家にあるドイツ民謡のCDを列挙する。とはいうもののブラームスの「49のドイツ民謡」などは対象外だ。一般のドイツ民謡のCDである。
- ヴェルニゲローデ少年少女合唱団 妥当なところ。旧東ドイツ時代の録音。全8巻のうち1~5巻および7巻を所有。ドイツ民謡の決定版的位置づけ。キーワードは「清らか」に尽きる。長調のバラード系がとりわけ秀逸。編曲が素晴らしいことも地味に利いている。7巻の学生歌とりわけオタクな選曲。これを渋いと思えるようになりたい。こちら
- 「S.O.S」Singer pur。これが1位でもいいのだが、全8巻の網羅性に負けたということ。厳密に申せば合唱ではなく重唱だ。気の利いた編曲ぶりはヴェルニゲローデ以上だ。こちら
- 「Das Liederprojekt」全2巻いやはやすごい。ドイツ音楽界の底力を見る思い。超一流の音楽家たちの民謡への思い。「みんな民謡好きなのね」と実感。こちら
- キングズシンガーズ。「二人の王子」の編曲が絶品。シューベルトの「ます」も素晴らしい。こちら
- 「Das Lieben bringt gross Freut」いやはや棚ボタ。ライプチヒ弦楽四重奏団とアマコルドのジョイント。民謡を丹念に弦楽四重奏に編曲したケスマイヤーのグッドジョブで破格の楽しさ。こちら
- 「ジルヒャー作品集」 Mennerchor Teisebdorfという団体の男声合唱。ジルヒャーが作曲または編曲でかかわった作品26曲。桁外れの楽しさ。ジルヒャーの偉大さがよくわかる。こちら
- 「二人の王子」 マックス・レーガー編曲による23のドイツ民謡集。サプライズの深さという点では筆頭格。とくにアルバムのタイトルナンバー「二人の王子」は極上である。ドレスデンカンマーコールのグッドジョブ。こちら
- 「Volksliedr Der Deustchen Romantik」 コンツェルトコールダルムシュタットの演奏。全28曲のバランスと品のいい編曲が売り。きれいどころを全ておさえた網羅感と価格のバランス。こちら
- 「Deustche Volkslieder」 ジンクフォニカーという男性6名のアンサンブル。いやはや渋い。ブラームスの絶唱「別れの歌」が男声アンサンブルで聴けるのは貴重。こちら
- 「色彩」 カルムスアンサンブルのデビューアルバム。現代作曲家の民謡アレンジが秀逸。伴奏もろとも声楽に転写した「魔王」が凄い。こちら
このほか、ドイツグラムフォンや、BMGにも所属アーティストを総動員したドイツ民謡集がある。演奏家の名前だけをみると錚々たるメンツだが、歌曲リサイタルの香りが勝ちすぎていて面白みに欠ける。クラシック畑の大物がドイツ民謡を歌ったCDもあるが、とってつけたような楽隊の伴奏では、興ざめだ。アカペラの重唱または合唱が一番しっくり来る。
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