連弾試演
大学祝典序曲には管弦楽版のほかに、本人編曲によるピアノ連弾版も存在する。
連弾版は1880年9月13日、南独の保養地ベルヒテスガーデンで初演されている。演奏に必要な4本の手の内2本はブラームス本人が差し出した。残る2本を提供したのは、クララ・シューマンだった。見ての通り初演の日9月13日はクララの誕生日だ。ブラームスはイシュルから、誕生日に合わせてクララの滞在するベルヒテスガーデンを訪ねたということだ。
誕生日にあわせた訪問だ。プレゼントを持参するのが人情というものだ。そのプレゼントこそが、出来たてほやほやの大学祝典序曲連弾版の楽譜だ。ブラームスがベルヒテスガーデンに着いたのが9月9日。クララとの演奏が13日だ。2人とも初見なんぞ朝飯前だろうが、その数日でサラリと練習もしたに違いない。
ブラームスとクララの連弾による大学祝典序曲だ。初演と称しているが公開の席ではなかったらしい。もったいない。
念のために申し添えると、このとき「悲劇的序曲」の連弾版も演奏されている。
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<yoshimi様
はい。彼らは、仲間が集まってはすぐ室内楽だったようです。次から次へと届くプレゼントが、ことごとく音楽史に残る傑作なのですから、クララも幸せ者です。その同じ作品を現在も聴くことが出来て私も幸せです。
投稿: アルトのパパ | 2011年12月27日 (火) 19時10分
こんにちは。
ブラームス回想録を読んでいると、ブラームスとクララは、内輪のパーティなどで、「ハンガリー舞曲」などを度々連弾していたようですね。
お誕生日のプレゼントに楽譜を贈るなんて、作曲家でしかできないなんて素敵なプレゼントなんでしょう!
プレゼントのために連弾楽譜を書いていた時のブラームスの気持ちを想像してしまいます。
投稿: yoshimi | 2011年12月27日 (火) 10時33分