オスミンとペドリロ
モーツアルトが1782年に完成させたドイツ語のオペラ「後宮からの誘拐」の話だ。クリストフ・フリードリヒ・ブレッツナーの脚本である。オスミンとペドリロはその登場人物の名前だ。
囚われのお姫様を敵陣から救い出す話である。スターウォーズや西部劇にでもなりそうなお話だ。敵陣の警戒が薄いハズがないから、一計を案じる。酒に酔わせて眠らせようという魂胆である。飲ませる側がペドリロで、飲む側がオスミンという具合である。ペドリロがテノール、オスミンをバスに据えた二重唱が現れる。第2幕8場だ。この二重唱のタイトルが「バッカス万歳」である。バッカスとは酒の神だ。
そのつもりで調べてみると凄いことが判った。この二重唱「バッカス万歳」のテキストに現れる2人のやりとりそのものが、「バッカスコモン」という学士会の酒宴作法に準じている。正確には「一般ドイツ酒宴作法」の第3条73項らしい。当時の聴衆はこの部分を聴けば、酒宴作法が下敷きになっていることをすぐに察したものと思われる。
オスミンとペドリロは学士会の出身者に違いない。数少ないモーツアルト関連の学士会ネタを本日発信する意義はすでに明らか。
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