仮入会
昔の本を読み返していると思わぬ発見がある。日音楽譜出版社から刊行された「BBCミュージックガイドシリーズ」の15巻「ブラームス管弦楽曲」という書物がある。刊行日は1982年6月20日とある。私が就職した年だ。当時この本は私の宝物で、隅から隅まで読んだのだが、最近また読み返してシャープな発見をした。
73ページ「大学祝典序曲」の章。1853年ブラームスはヨアヒムが聴講生になっていたゲッティンゲン大学で、学士会の祝賀行事に参加し、学生集会室でヨアヒムともに新入生歓迎の「狐の騎行」(Fucheritt)に興じたと明記されている。
狐の騎行に興じたということは、学士会入会の手続きを踏んだということではないか。ブラームスはヨアヒムとともに新入生の扱いを受け、歓迎の行事に参加するのみならず、椅子に逆向きに座っておバカな騎行に興じた。当時は作曲家としてはまだまだ駆け出しであったから、名誉会員に列せられたとは考えにくいが、仮会員とみなされていた可能性は低くない。
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