死神
「無伴奏混声合唱のための14のドイツ民謡」WoO34の13番目「Schnitter Tod」がある。直訳すると「死の草刈り人」くらいの意味だ。切れ味のいい刃で美しい花を狩りまくるといって、注意を促すようなテキストだ。いささか暗い旋律だが、妙な説得力がある。
彼の獲物の花々が次々と列挙されて植物図鑑のような趣がある。スイセン、ヒヤシンス、トルコ百合、チューリップ、風鈴草、矢車草など。
実はこの歌もまた、そっくりそのまま学生歌に採用されている。美しい花はこれまた美しい女性の象徴となっている。学士会の酒宴のうち、公的儀礼の性格が強いものは、女性の参加が認められていない。逆にそういう場でこそ、女性は名花と位置付けられているのだ。
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