シュモリスとフィドゥツィット
盟友の誓約を交わした学生同士が、酒宴の席上でお互いの関係を確認し合うために交わす決まり文句のことだ。
まず「シュモリス」は、「Schmollis」と綴られるが、元はラテン語で「Sis mollis」(良き友であれ)が転じた形だ。
さらに「フィドゥツィット」は「Fiduzit」または「Fiducit」と綴られるが、同じくラテン語起源だ。「fiducia sit」(その件承知した)に由来する。
たとえば私が学士会においてブラームスと盟友関係にあったとする。その酒宴の席上、私はビールが注がれたグラスを持って立ち上がり、ブラームスに対して「Schmollis Brahms」と声をかける。ブラームスは直ちに立ち上がって「Fiduzit」と発声しながら、ビールグラスを高く掲げて一気に飲み干す。これが両者の盟友関係を確認する酒宴上の大切な作法とされていた。
そして「Fiducit」と通称される学生歌が実際に存在する。「シュモリス」の問いかけに対して「フィドゥツィット」と応ずる声がないと嘆く歌。つまりそれは盟友の死を悼む歌だ。数ある学生歌中の絶唱だと感じる。淡々としたテキストが朗々と歌われる孤高の長調だ。
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