狐の年
ロベルト・シューマンは1828年5月からライプチヒで学生生活に入った。5月2日から1830年まで「ホッヘントッティアーナ」という自伝的日記を書いている。2篇からなるその日記の第1篇は「狐の年・喜劇的自叙伝」というタイトルになっている。
「狐の年とはこれいかに」なのだが、学士会のしきたりに照らせば疑問は氷解する。「狐」つまり「Fuchs」は学士会新入生の俗称だ。入会の意思表示から、正規会員のブルシェンになるまでの見習い期間中、彼らは「Fuchs」と呼ばれる。学生生活突入と同時に書き始められた日記が「狐の年」とタイトリングされるのはとても自然なことだ。同時にシューマン自身の学士会への積極関与を裏付ける事象だ。
のちの大作曲家シューマンも、当時新入りとして遇されたことは間違いない。「狐の騎行」や「一気飲み」をさせられたことは確実だ。
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