親称と敬称
ドイツ語の二人称には「親称」と「敬称」が存在することは、学習の早い段階で開示される。前者が「Du」で後者が「Sie」だ。家族恋人親友など親しい人同士では「Du」を用い、その他は「Sie」を使うと解説される。ネイティブなドイツ語の使い手は、いちいち考えなくても間違えずに区別出来ているのだと思うが、ビギナーには厄介である。
ブラームスがクララへの手紙の中で「Du」を用いることに許可を求めていることは割と知られている。微妙ではあるが、厳然とした区別があるのだと感じる。
学生歌の調べ物をしていて、学士会の酒宴作法について眺めていた。その中にレツェプツィオーンという儀式があると知った。ドイツ語では「Rezeption」と綴る。いわゆる「レセプション」に相当する単語なのだと思う。この儀式は学士会に入会を希望する学生が準会員になるために欠かすことが出来ない通過儀礼だ。これにより希望者は準会員「Fuchs」と認められる。
準会員「Fuchs」になると学士会メンバー全員と朋友関係で結ばれたと解される。会員同士はお互いを「Du」で呼び合うことが義務づけられる。名誉会員古参会員とも「Du」で呼び合うということだ。古参会員の中に国家元首がいた場合、若造の新入会員といえども「Du」と呼びかけても失礼にはならないということだ。そうした学士会の風習は、ドイツ語圏の地域では広く社会から受け入れられているらしい。
とかく解釈が厄介な「Du」の一側面である。
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