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2012年3月22日 (木)

我らは立派な校舎を建てた

「大学祝典序曲」op80の解説する文章は、そこでブラームスが引用した学生歌の数を大抵「4曲」としている。本日のお題「我らは立派な校舎を建てた」は最初63小節目で登場する。トラペットのアンサンブルが一際輝かしい。

ここまで学生歌に関連する記事をずっと連ねてきたが、不思議なことがある。本日の話題の「我らは立派な校舎を建てた」がさっぱり言及されていないのだ。「大学祝典序曲」で引用したとされる学生歌のうち「新入生の歌」「国の親」「ガウデアムス」の3曲については、学生歌集なりCDなりに頻繁に登場する。それに対して「我らは立派な校舎を建てた」はブラームス作品の解説書では、「学生歌」である旨明記されるが、学生歌としての存在が文献上で確認できない。元歌が特定出来ないということだ。楽譜にも音源にも巡り会えていない。

「大学祝典序曲」に言及するクラシック音楽解説系の文書は、引用される学生歌の数を「4曲」と位置づけている。登場順に列挙する。

  1. 我らは立派な校舎を建てた
  2. ランデスファーター
  3. 新入生の歌
  4. ガウデアムス

判で押したように皆4曲と言っている。ところが、上記1番を掲載した学生歌集に出会わない。CDに収録されているのも見かけない。

学生歌の研究書やCDの解説などにおいて、ブラームスが「大学祝典序曲」に学生歌が引用されたこと自体には、必ず言及されるが、「4曲」と明示している例が無い。4曲と言い切っているのは、クラシック音楽解説系の文書だけだ。学生歌研究系の資料は3曲である。

「我らは立派な校舎を建てた」は、その意味で不思議だ。引用箇所が学生歌の冒頭ではないのだろうかと思うが、それならば「ランデスファーター」も同じだ。学生歌研究畑の人々全てが皆、見落としているのだろうか。

古代史の中では、日本側の記録たる記紀と中国側の記録の記述が食い違うことがある。そうしたズレが無くなってくるのは701年以降らしい。同様にクラシック音楽解説系の文書では、必ず4曲とされながら、学生歌系の文書では「我らは立派な校舎を建てた」が欠落した3曲しか言及されない。

「大学祝典序曲」での出現の仕方はとてもカッコいいのだが、本当にこれは学生歌なのだろうか。

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