バッハと学生歌
名高いゴールドベルク変奏曲の他にも「クォドリベト」があった。BWV524だ。「結婚混成曲」とでも名付けたい作品。一族の結婚式において声高らかに唱和されたものと思われる。
この作品の中程、歌詞が突然ラテン語になる。
Dominus Johannes citatur
「主ヨハネス」くらいな敬虔な意味かと思ったらどうも違っていて、このテキストに限っては「学生ヨハネス君」というようなノリらしい。「居酒屋金冠亭のお姉ちゃんとの一件について、学長から喚問がある」というような話である。19世紀の学内裁判を彷彿とさせる内容だ。さらにその後歌詞がドイツ語に戻って「Studenten sind sehr flolich」(学生さんたちはすこぶる上機嫌)と続く。
このあたりのテキストは学生の生態を描写しているような感じだ。
欧州の学士会の興隆期は19世紀だが、バッハのいた18世紀にも放蕩な学生がたくさんいたものと思われる。バッハはそれを巧みに取り込んだものと考えられる。
希少なバッハ関連の学生歌ネタを本日公開するこだわりにお気づきいただけているだろうか。
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