ザラマンダー再考
ブラームスには「Salamander」と綴る歌曲があることは既に述べた。本日はそれとは別の話だ。学生歌を育んだ学士会には、さまざまな作法がある。酒宴における作法はとりわけ多岐にわたっていたらしい。乾杯の瞬間に「ビールの泡が消えていること」さえ作法違反とされている。
そうした酒宴作法のうちもっとも重要なものが「Salamander」(ザラマンダー)と呼ばれている。スペルも発音も火中に棲む両生類「ひとかげ」と同じだから紛らわしい上に、辞書には現れない典型的な学士会用語だ。
- 宴会長が起立し儀礼剣を抜き短いスピーチ。
- 宴会長が「ザラマンダー、アインス、ツヴァイ、トライ」と発声し一気飲み。
- 続いて皆で「ザラマンダー開始、1,2,3,1,2,3・・・・・」と発声しながら空のグラスをテーブルに軽く叩きつける。(飲み干している証拠かも)
- 最後に宴会長が「ザラマンダー終了」と発声すると一同「ブラーボ」
これら一連の手順のことが「ザラマンダー」と呼ばれているのだ。日本の「乾杯」あるいは「お手を拝借」の三本締めをあわせたような所作である。
何故これが「ザラマンダー」と呼ばれているのかについて、ご当地ドイツでも決定的な定説がないらしい。
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