ランデスファーター
「Der Landesvater」と綴り「国の親」と訳される。「大学祝典序曲」op80に登場する学生歌のうちの一つだ。
学士会にはその規約に決闘の規約を持つ団体がある。研究家の間ではこれが「撃剣系学士会」と呼ばれている。この系統の学士会で最重要視されている儀式こそが、本日のお題「Landesvater」である。祖国への絶対的な忠誠を誓う儀式とされている。ブラームスが採用したのはその儀式の際に唱和される学生歌だ。
その儀式では、会員たちがかぶっている帽子が次々に剣で串刺しにされる。ちょうどヤキトリみたいな感じだ。帽子には剣を刺した跡が穴となって残る。これを後から金銀の糸で刺繍してふさぐ。ドイツを象徴するEichenの葉や年代をあしらった刺繍だ。古式によればこの刺繍は未婚の女性に委ねられるという。
この刺繍こそが、国家と朋友のために戦って死ぬ覚悟と勇気があることを象徴していると解されている。三月革命の時期にドイツ語圏各地に起こった学生軍団の心意気の名残りとも言われている。
大学祝典序曲にこの旋律を採用したブラームスが、これらの由来を知らなかったとは考えにくい。
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