ズッペ風
「大学祝典序曲」op80を説明する文章には、ブラームス自身がこれを「ズッペ風接続曲」と称していたことが書かれている。ズッペは喜歌劇の作者だ。彼は序曲を書く際に、「作品中に出現する印象的な旋律を手際よく繋げる」という手法を用いた。これが「接続曲」という概念だ。「大学祝典序曲」は、4つの名高い学生歌が次々と現れる構造となっている。「ズッペ風接続曲」という言い回しはこのことを指していると解されている。
「ズッペ風」という言葉の解釈について、ここに提案がある。
ズッペは学生歌の作曲も確認出来る。「財産や金銭をほこるべきではない」という作品が複数の学生歌集に収録されている。「陽気な仲間たち」は「学生喜歌劇」と呼ぶべき作品で、劇中に「ガウデアムス」「さあ楽しく食事せよ」「アナクレオン」「バッカス万歳」「クランバブーリ」などの学生歌が手際よくちりばめられている。「Das Fechslied」を用いた序曲も作曲している。
これらの事情をブラームスもよく知っていて、自作での学生歌の使いっぷりを指して「ズッペ風」と称したのではあるまいか。「既存旋律の接続」に加えて「学生歌の引用」もまたズッペの有力な手法だと考えた上で、「ズッペ風」という言葉を用いたと感じる。
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