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2012年4月16日 (月)

所作

好きな言葉だ。

娘たちのオケの演奏を聴いていつも思うことがある。特にドイツではそうだった。音楽の周辺にある子供たちの立ち居振る舞いが、演奏から生ずる感動に一役買っている気がしている。音程や縦の線があっているほかに、音楽の目指すところが明快な上にメンバーがそれを共有しているのが大きい。おそらくこれにお互いの音を良く聴けていることも加えてよいだろう。

さらに彼女らがステージで見せる所作が演奏の印象向上に大きく貢献している感じだ。

弦楽器奏者たちの弓順がピタリとあっている。タクトが降りる直前の管楽器奏者たちのブレス。コンマスのボディアクション。指揮者を見据える目。これらは演奏の最中に頻繁に確認できる。

演奏の前、ステージに入ってくるメンバーの歩き方が実にすばらしい。あくせくはしていないのだが、無駄な所作が一切無く規律を絵に描いたよう。演奏の前後、起立するときの揃い方は見事だ。難解なソロがあった奏者を、指揮者が一人で立たせる場面。変に照れることなく、堂々と立ち上がって拍手を受ける。一般の演奏会と違って、管楽器では組曲の1曲ごとに、持ち場が変わる。つまり曲の合間に座席移動があるということだ。娘たちの演奏会に関して申せば、曲間のこの移動がまったくストレスにならない。むしろあまりに整然と遂行される様子が鑑賞の対象でさえある。

まだある。「朧月夜」を歌うために管楽器全員が音も無くスックと立ち上がる光景は、それだけで感動的だった。まだ一音も発する前に既にこちらの心に届くものがある。あるいは起立して拍手を受けている間の、楽器の持ち方がとても美しい。頭のてっぺんからつま先まで気持ちが行き届いているとでも申すべきか。それでいてほんのりとした笑顔も忘れない。規律と呼ぶにはあまりに優雅。

ドイツの聴衆に気持ちを届けようと必死なのだ。演奏の内容はもちろんのこととして、それ以外でも出来ることは何でもするという決意が所作に現れている。どうしたら気持ちを伝えられるかを、生徒たち自らがじっくり突き詰めた結果だ。どうも生徒らは、演奏会トータルでものを考えている形跡がある。お客様をお迎えする開場から、ロビーでのお見送りまでをセットで考え、演奏そのものはあくまでもその一部。全体の運営がユルユルで演奏だけが極上などということはあり得ない。演奏会の細部にこだわり、流れが事細かに決められて忠実にそれを遵守する。突き詰められたその頂点に演奏が鎮座する。

揃っているのは音だけではない。心が揃っているとでも申すべきか。

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続々と詰めかける聴衆。親戚のコネの無いドイツでこの入りを見ただけで感動。

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