感謝の行方
ドイツ遠征に挑む娘らメンバーはもちろん、それを追いかける一行も全て下のようなステッカーをスーツケースに貼っていた。
昨年の震災以降1ヶ月の間ドイツの教会では毎日のように祈りのミサが捧げられるなど、日本の震災に対する思いは深い。寄付などの金銭的な援助に加え、精神的にも日本を気遣ってくれた。私たちは直接大きな被害を受けることはなかったけれど、あるいはそれだからこそみんなで元気にドイツを訪問することが出来た。それでもドイツ人は我々を「あの震災の日本からはるばる」という思いで見つめてくれた。
震災で受けた恩を日本を代表してお礼するという意識は二次的なものだった。生徒たち自身はあまりそこを起点に考えていない。大切なことだが微妙。それが目的になるとかえって道を踏み外す。うんと極端に申せば震災がなくても生徒たちの意気込みは大きく落ち込むことはなかったと思う。現地のメディアでは震災に絡めた報道が多かったし、今回に限っては集まったお金を震災遺児のために寄付するけれど、あくまでもそれは後付け。
旅行の前後頻繁に、生徒たちは関係者への感謝を口にした。暖かなドイツの人々がまずは感謝の対象だ。そのためにずっと準備を重ねてきたと申してよい。どうしたら気持ちが伝わるかを突き詰めたのが今回の公演だ。しかしそれ以外にも、感謝せねばならない人は実に多い。現地で準備に当たったコーディネーターや旅行代理店、カメラマン、同行の医師や看護師など、顧問やトレーナー以外にもたくさんの人々の協力で成り立っている。
私ごときが言わんでも生徒たちはみなわかっているが、それでもやはりみんなに感謝。そしてブラームスのご加護を。
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