ビスマルクとルートヴィヒ2世
ワーグナーを通じてバイエルン王ルートヴィヒ2世に工作を仕掛けたビスマルクは、1度だけルートヴィヒ2世と会っている。1863年8月17日18日両日プロイセン王のミュンヘン訪問に同行したとき、その歓迎の晩餐で隣り合わせの席になった。場所はミュンヘン郊外のニュンヘンブルク城。ルートヴィヒ2世の生まれた城であり、ヴィッテルスバッハ家の夏の離宮だ。ビスマルクの宰相就任のおよそ1年後、国王ウィルヘルム1世の信頼厚い臣下としての列席である。
このとき17歳のルートヴィヒ2世の様子をビスマルクは事細かに日記に書いている。病気がちな父王の代理という大役を任された若き皇太子は、「心ここにあらず」という風情だったと記している。会話があるにはあったが、儀礼的な範囲にとどまったことを残念がっている。それでも利発さとセンスが感じられたとある。
2人の会見はこの一度だけだ。それでもルートヴィヒ2世は後年ビスマルクがバイエルンの保養地バート・キッシゲンを訪問するたびに、王室の専用馬車を差し回したという。
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