ヘッセン大公国
ピアノ五重奏曲ヘ短調op34の初演が普墺戦争のあわただしい中、ライプチヒで行われた話を昨日したばかりだが、この作品にはもう一つ普墺戦争絡みで興味深い話がある。
ビスマルクは普墺戦争勝利のあかつきに、ドイツ統一に邁進するために、フランス・ナポレオン3世と密約を結んだ。ライン以西の領土割譲をエサにマイン川以北の統一認めさせ、フランスの不介入を確認した。ナポレオン3世はこれに同意したが、内心ビスマルクはこれを信じていないのだが、ライン以西の割譲も口約束のつもりだったらしく、どっちもどっちな感じ。
ピアノ五重奏曲を献呈したのは、ヘッセン大公国の王女アンナだった。ブラームスはクララを通じて王女と知り合い、御前演奏までしていた。王女から献呈のお礼と下賜されたのが、モーツアルトの交響曲第40番の自筆譜だったことはよく知られている。
さて、普墺戦争に勝ったプロイセンは、予定通り普墺戦争でオーストリア側についた諸邦の併合を実行に移す。フランスとの約束通りその範囲はマイン川以北に限られた。天下分け目の戦いで、味方する側を間違えると国の消滅は免れないのは関が原の戦いと同じだ。例外は2カ国。プロイセンのすぐ南のザクセンは、フランスからの横槍によって、併合をあきらめた。そしてもう一カ国はアンナのいたヘッセン大公国。ヘッセン大公国はマイン川をまたいで南北に領土を持っていたから、北側だけがプロイセンに併合されて、南側は残った。街でいうとダルムシュタットあたり。
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