甲板上のムシデン
ハンブルクを出港する際、決まってシュヴァーベン民謡「ムシデン」が、演奏された話は既にしておいた。その周辺を調べていてお宝情報にめぐり合った。
ドイツ海軍では、大型戦闘艦が長期航海に出る際軍楽隊が甲板上で「ムシデン」を演奏する伝統があったらしい。ハンブルク港だけでなく各地の軍港で、大型艦出航の際のセレモニーになっていたようだ。
昨日話題にした戦艦ビスマルクの初陣はライン演習作戦だった。敵を欺くために「演習」の名前が紛れ込んでいるが、英国の海上通商路の分断という任務をおびていた。1841年5月18日正午、現在のポーランド領グディニア港を出航する際、甲板上でムシデンが演奏された。大型戦艦ビスマルクの行動は最高の軍事機密だったが、突然のムシデンの演奏を聴いて単なる演習ではないと多くの乗組員が悟ったという。
この後ノルウェイのベルゲンに寄港したのち、ライン演習作戦に臨み、同月27日には沈没することとなるから、このときのムシデンが「最後のムシデン」だった。
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