軍医
「軍隊につきしたがって、傷病兵の診察治療にあたる医師」くらいの意味。ぼんやりとしたイメージしか持てていないのだが、具体的に突き詰めると奥が深い。
プロイセン・シャルンホルストによって考案された徴兵制度は短期現役制と呼ばれる。20歳の男子全員に兵役を課す代わりに、現役2年の後7年~10年の予備役に回される。軍医のニーズはこれによって飛躍的に高まった。戦場で負傷した兵士の手当てという一般的なイメージとは別に軍医の出番が膨れ上がった。徴兵適齢期に差し掛かった男子の健康診断が必須となるからだ。成人男子全員の健康状態を把握する制度上の必然が生じたと言うこと。
周囲を敵に囲まれたプロイセンにとって、平時の兵員維持は死活問題で、戦場での負傷救護以上に、平時の健康観察が重要になる。森鴎外はドイツ留学の最後の3ヶ月をプロイセン近衛歩兵連隊の医師として過ごす。朝出勤すると体調を崩した兵士の診察が日課だった。
プロイセンを見習った日本陸軍でも軍医の位置が高まって行く。軍医のトップである軍医総監は、中将待遇だったらしい。医学博士・森鴎外は後年その軍医総監に就任する。
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