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2012年11月16日 (金)

エントリークライシス

コンクールに申し込みをすることをエントリーという。次女が仲間とブラームスのピアノ五重奏曲を演奏することになったことは既に言及しておいた。本番は来年1月12日。その締め切りは今日。必要書類が事務局に今日中に届くことをもってエントリーが完了する仕組みになっている。

事件は昨日起きた。修学旅行に昨日朝でかけたばかりの次女から午後1時過ぎにメール。仕事中だったのですぐに確認が出来ず、事態を把握したのがもう3時を過ぎていた。コンクールエントリーには、演奏する楽譜の表紙をコピーして申込書に添付しなければならないのに、メンバーが皆修学旅行に出払っているので、コピーが出来ないという内容。締め切りは事務局に16日必着という詰まりっぷりだ。次女によればその楽譜は家の自室にあるらしいが、どこにしまったかは記憶にないという。15日中に顧問の先生に届けられなければ、コンクールへの参加資格を失うと、明らかに狼狽したメールだった。

家に戻って次女の部屋を探して楽譜を学校に届けるというのが、オーソドックスな方法だが、私の結論は違った。これはおそらく音楽の神様の警告だ。もしかするとブラームスの警告かもしれないと受け止めた。次女を通じてメンバーに届けられたパート譜は、20年以上前に私が買い求めた代物だ。既に黄ばみも進行している。亡き妻を含む仲間と演奏に興じた思い出の楽譜なのだが、コンクールに挑む娘らが練習に使う楽譜としては物足りない。アメリカの某出版社から出された楽譜で、当時は安さに釣られて飛びついた代物だ。次女たちがコンクール曲にブラームスのピアノ五重奏を選んだときから、実は気にしていた。

コンクール本番では暗譜で、楽譜なんぞ見たりはしないのだが、そこに至る練習の過程では楽譜は必須だ。作曲家ブラームスとメンバーを繋ぐ唯一の架け橋だからだ。ブラームスはとりわけ学習者に対して、楽譜の選択にうるさかった。適切な版を選べと。ましてやコンクールに挑もうかというときにそこいらの廉価版では困るのだ。申し込み書に使用楽譜の出版社名を記入し、楽譜表紙のコピー添付を義務付けられている中、それが訳の判らぬ廉価版では、書類選考で落されかねない。出版社欄には是が非でも「G.Henle Verlag」と書かねばならぬ。コピーされた表紙には「URTEXT」(原典版)の文字が躍っていなければならぬ。

という訳で、少々早めに会社を抜け出して行きつけの楽譜ショップに飛び込んで、売り場を物色した。ブラームスのピアノ五重奏の品揃えは2種。ブライトコップフとヘンレだ。価格で申せばヘンレはブライトコップフの2倍もするが、ここは迷わずヘンレ一択。ブラームスの没後の全集の刊行はブライトコップフからだったが、ブラームス生存中はブライトコップフとは絶交状態にあった。弦楽六重奏第2番にからむトラブルが原因だ。だからここでブライトコップフは有り得ない。ヘンレはマッコークルの出版社でもあるのでありがたみが違う。紙質や製本の具合もよく、譜めくりもし易い。

いそいそと買いこんで学校に駆けつけて事なきを得た。いくつかの不幸な手違いが原因なのだと思うが、私にしてみれば、気がかりを一気に解消するキッカケだった。私がしてやれることはこれくらいで、後は祈ることでしかない。はっきり言って「お安い御用」状態。メンバーは折角の修学旅行初日だというのに、とんだエントリー騒ぎに心をいためたのだろう。あのまま某廉価版の楽譜で、挑戦させていたら、あとからブラームスに「お前がついていて何故?」とどやされたに違いない。これでブラームスにご加護をお願いする準備が整った。

乙女たちのクインテットに幸あれ。

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コメント

<てぃんぱにゃー様

毎度毎度暖かいコメントありがとうございます。

そうおっしゃっていただけると心強いです。
しかし、予想はしていたものの、全国大会以来次女のオケネタが止まらない感じです。書きたいことが次々起きるので、佳境にビスマルクさしかかったビスマルク特集が延々と中断の憂き目にあっています。後ろめたさが少し和らぎます。

お見事!!

先日の2Fからブラームスが聞こえて来た記事から以降コンクールといい今日の記事といい、
あったかい気持ち(もはやアツいですがっ)にさせてもらいます。

娘さんのいろんな意味での無事のご帰宅をお祈りしております。

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