職場オケ
従業員が仕事の合間にさまざまな文化活動を継続的に行うことがある。学校の部活よりは制約も多いが、なかなか盛んである。不景気の逆風を受けやすいというのが難点か。従業員オケを持っている会社もたま~に見かける。
ドイツの産業革命を牽引した大企業にクルップ社がある。現在も存続する鉄鋼コンツェルンだが、当初はレールなどの鉄道資材と大砲などの武器が基幹商品だった。同社の大砲は日本にも輸出されていたようだ。産業革命と富国強兵によって大躍進を遂げた。躍進に必要な労働者たちを工場の周辺に住まわせるための20000人規模の住宅団地を造成するまでになった。社宅の走りである。
衣食住のうちの「住」が安定確保されると。次に余暇を考えるようになる。1889年には従業員が自発的に教育協会を設立した。業務後や休日を使って従業員に一般的教養と教育的娯楽を提供するのが設立趣旨で、クルップ社もこの活動を公認する。設立から15年で会員は6000名を超えたといわれている。
一方団地や職場にレストランやパブが作られ、従業員で大賑わいとなるうちに、そうした場所を根城にサークルが生まれる。混声合唱、文学、チェス、写真、フェンシングなどに混じってオーケストラがあった。世界最初の職場オケと目される。1903年には年間15回の演奏会を開催し、ハイドンやベートーヴェンが取り上げられたらしいが、プログラムにブラームスがあったかどうかは確認出来ていない。仮にチャイコフスキーの「序曲1812年」を演奏するとしよう。そのとき曲中に現れる大砲は自社製でしたというノリを是非とも期待したいところである。
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