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2012年12月27日 (木)

クロスリズム

ピアノ五重奏曲の第3楽章の魅力は、4分の2拍子と8分の6拍子の頻繁な交代にある。その対比が聞かせどころの一つには違いないのだが、この両者の錯綜共存は見られない。弦楽四重奏第3番フィナーレには、これらの拍子に加え、4分の3拍子までが同時に鳴る場所が存在するけれど、次女たちが挑むスケルツォでは共存が避けられている。

ところが例外が一箇所。トリオのそのまた中間部、練習番号E226小節目のピアノ左手に注目願いたい。ここから拍子が4分の2に変わる場所。4分の2拍子の2拍目に3連符が配置される。ピアノ左手だけ2拍目が3分割された2拍子を弾く。つまりその間事実上の8分の6拍子ということになる。ピアノと第一ヴァイオリンが4分の2拍子だから、そこで8分の6拍子を弾くピアノ左手との間にリズム的な緊張が起きる。これがクロスリズムだ。234小節目のアウフタクトからはチェロに引き継がれる。ピアノとヴァイオリンのダイナミクスがメゾフォルテであるのに対してチェロはフォルテだから、「チェロが引っ込み過ぎてはなりませぬ」というブラームスからのお達し。クロスリズムを際立たせよという意図だ。

そうしたリズム的拮抗はやがて結審される。242小節で全体が8分の6拍子に戻る。チェロの8分の6拍子は、一足先の復帰だったことが明らかになる。トリオの開始部のチェロと5度違いの瓜二つとなっている。トリオ低音部は事実上8分の6拍子で貫かれている。

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