実質4拍子
次女たち「ふくだもな五重奏団」が挑むブラームスのピアノ五重奏曲。その第3楽章は「スケルツォ」のタイトルが奉られた8分の6拍子。この拍子のスケルツォ全4例は、みなハ短調という不思議はかつて話題にした。けれどもこの楽章の売りはむしろ、その8分の6拍子と、4分の2拍子の交代の妙にある。13小節目で4分の2拍子に転ずる。どちらの拍子もいわゆる「2拍子系」で「1212」となる。
ところが、背筋を伸ばしてもう少し高い所から旋律やフレージング、あるいは拍節を観察すると4拍子が透けて見えるようになる。「8分の6拍子」や「4分の2拍子」の小節2個を一組でくくるといい。2小節を一組にして大きな1小節ととらえて、4つ振りで感じるといろいろな仕掛けを体感できる。「1212」の連続と感じるよりもずっと大局観が得やすい。
その感覚は中間部トリオまで貫かれている。
ブラームスは楽章の冒頭でチェロC線解放弦のピチカートを単独で4度鳴らす。これは楽章が実質4拍子であることのささやかな宣言だ。
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