ヒルデスハイム
「Hildesheim」と綴られる。ハノーファーの南東およそ30kmにある街。地名語尾「heim」の所在地としては北限に近い。たびたび引用しているグリム兄弟の「ドイツ伝説集」下巻の462番にヒルデスハイムの地名起源譚があった。カール大帝の後継ルートヴィヒ敬虔王が、森の中で休息をとった。聖母マリアの首飾りを傍らの木に掛けて休んだが、いざ出立となって、どうしてもそれが取れなくなって困っていると、マリアのお告げがあった。「まもなく雪が降る」「雪の積もった一帯の上に聖堂を建てよ」というものだった。
程なく本当に雪が降り始めた。ルートヴィッヒ敬虔王が「Hildeschnee」(素早い雪)とつぶやいた。これが訛って「Hildesheim)になったという。
興味深い話ではあるのだが、残念なことに地名語尾「heim」の説明としては弱い気もする。地名語尾「heim」が「schnee」(雪)からの派生であるということなのだろうか。とりあえず、積雪のおかげで成立した同地の聖母マリア聖堂は世界遺産に認定されている。
都会は積雪に弱い。雪で大変な目に遭った。
昨日次女たち参加のジョイントコンサートがあった。県内の高校オケ9つが一堂に会するイベントで、今年が7回目。次女は昨年も参加した。思えばこのとき混成Aオケでトップを弾いた。初めてのトップ経験だった。あれから1年の月日を肥やしに、成長がいちぢるしいなどとニンマリしていたのも初めだけだった。
参加9校の単独演奏に続いて4つの混成オケの演奏に移るはずが、首都圏を襲った雪の影響で中止。もちろんホールは屋内なのだが交通機関に影響が出始めたため、帰宅の足を考慮してのやむを得ぬ措置。コツコツと練習していた「スラブ行進曲」を披露することが出来なかった。
一部鉄道が運転を見合わせる中、クルマで帰宅したが、待っていたのは大渋滞。震災の日に2時間半かかった同じ道のりを4時間かけて帰宅。携帯電話が自由に繋がったからよかったものの、クタクタになった。
大した雨女っぷりを披露してくれた次女と4時間たっぷりコミュニケーション出来たのはよかった。それからボロディンの第一楽章を初めて聴いた。コンクールの練習に没頭する裏で、こちらも形にして見せてくれた懐の深さこそが今日の最大の収穫だ。ベールを脱いだボロディンの第一楽章、挨拶代わり、いきなりの「sul G」連続ダウンボウは圧巻。
大雪の翌日に、これに言及しないのは「徒然草」あたりに言わせれば野暮の部類。だから鴎外ネタ1日をはずして雪の話。しかも次女のオケネタでもあるという配置の妙。
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