防衛線としてのライン
記事「地名語尾ランキング」を見て「おや」と思った人がいるかもれない。フランクフルトで有名な地名語尾「furt」がベスト10に入ってこない。実際にはベスト20にも無い。地名語尾「furt」は知名度の割に出現頻度は高くない。
ライン川は古来アルプス地区と大西洋を結ぶ重要な交易路だった。ワインを含む様々な文物が往来した。現在でもスイス・バーゼルまでそこそこの船が遡ることが出来る。ライン沿岸の領主たちは関所を設けて通行税を徴収した。最盛期には数十ヶ所に及んだとされている。商人たちは困ったが支配者にとってライン川は金づるだったのだ。ライン沿岸が古来から奪い合いの対照だったのもうなずける。
南北の移動を試みる者たちにとって大動脈だったライン川であるが、東西の移動を企てる者たちにとっては難儀な関門だった。フランクフルトで有名な地名語尾「furt」は、「歩いて渡れる浅瀬」の意味だ。不思議なことにライン川沿岸の地名には現れない。何故かと考える。
- ライン川はそこいら中が歩いて渡れるから「furt」では地名特定にならない。
- ライン川には歩いて渡れる浅瀬が無い。
- 歩いて渡れる浅瀬をライン地区の方言で「furt」と言わない。
おそらくこのうちのどれかだろう。ローマ人もゲルマン人も古来この大河を防衛の最前線としてきたから、おそらく上記の2なのだと思う。思うように大軍を渡せない川なのではあるまいか。
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