ドイツのヘソ
隕石ネタに押し出される感じで2日遅れの公開。
ブログ「ブラームスの辞書」の特集「地名語尾」は、今や「地図無き地誌」の様相を呈してきた。読者が持っている地図への依存症が止らない。本日もまたその流れだ。
紙と鉛筆を用意して欲しい。
中央に大きく「X」状に罰点を描いていただく。本日の地図はそれだ。2本の直線の交点から右上に延びる線が「ザクセンの森」、右下に伸びる線が「ボヘミアの森」となる。この2つの森が、ドイツとチェコの国境を形成している。その交点から左上に伸びるのが「テューリンゲンの森」で、左下に伸びるのが「フランケンの森」である。
本日描いていただいたX字の交点は、4つの森の交差点だということだ。実は実は、記事「4分水嶺」で話題にした水源の密集地こそが、この「4つの森の交点」に相当する。
- 北に流れ出すザーレ川→エルベに注ぐ ザクセン 旧東ドイツ
- 東に流れ出すエゲル川→エルベに注ぐ ボヘミア
- 南に流れ出すナアプ川→ドナウに注ぐ バイエルン
- 西に流れ出すマイン川→ラインに注ぐ フランケン
上記の通りだ。そしてこの交点を基準に東西南北がそれぞれ別の地域名で呼ばれている。ライン、エルベ、ドナウがドイツの外周を規定する概念だとすれば、本日冒頭に描いていただいたX字は、そのドイツの内側を分かつ基準になっている。
道路地図を眺めていても山地や森はわかりにくい。川は慣れてくると判るようになるが、かなり険しい山地でも、アウトバーンは軽々と越えてゆくから、そこに森や山があることに気付きにくい。道路地図ではない地勢図を横において確認する癖がついた。程なく気付くのが本日お描きいただいた交点・ドイツのヘソである。
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