皇妃アグリッピーナ
ローマ皇帝カリギュラが闘技場で暗殺された後、皇帝の位についたのがクラウディウスだった。その妃が本日話題のアグリッピーナである。前帝カリギュラの妹でもある。彼女には前夫との間に男の子がいた。連れ子である。西暦50年頃、彼女の夫クラウディウスは、親ローマのゲルマン人が開いたライン河畔の集落を殖民都市に格上げした。妃の出身地だったからという話もある。彼は新しい殖民都市の妻の名前をつける。
「コロニア・クラウディア・アーラ・アグリッピネンシウム」という長い名前だ。さすがに長いので程なく「コロニア・アグリッピネンシス」や「コロニア・アグリッピーナ」と呼ばれるようになる。5世紀には単に「コロニア」(Colonia)にまで縮められてしまう。これでは単に「植民地」の意味である。
さて有頂天の妃は、やがて自らの子を皇帝の座にと願うようになる。日本にだって、我が子を天皇や将軍にしたいと欲した女性は少なくなかったが、彼女は夫である皇帝に毒を盛ることでそれを実行に移す。こうしてまんまと即位した彼女の連れ子が後に暴君と呼ばれることになるネロである。彼女はカリギュラの妹でネロの母だということになる。
そう。彼女の名前を背負った街コロニアこそが、現在のケルン(Koln)だ。地名語尾の探索はケルンに関しては無駄である。
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