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2013年3月14日 (木)

森が語るドイツの歴史

ブラームスは朝の散歩が好きだ。避暑地に滞在する夏の間の日課にもなっている。お気に入りは森の散策だったという。だから記事のタネを求めて森林関係の書物を探していてお宝にめぐり合った。

「森が語るドイツの歴史」(築地書房)という本。1996年に刊行されている。カール・ハーゲルという人の著書が和訳されたものだ。「森を通して見たドイツ史」という切り口が斬新だ。有史以前からのドイツと森のかかわりが事細かである。目から鱗の連続で約300ページをあっという間に読破した。この本が西洋史・ドイツ史の棚ではなく環境問題・森林問題の棚にあったので気付かなかった。

  1. 古来ドイツの森は広葉樹林だったこと。
  2. 人々の営みが森を破壊する。一般家庭の薪に始まり、家畜の放牧、製塩、製鉄、鉱業、木材貿易など。そしてそしてもちろん開墾。
  3. 時々森が回復する。ペスト禍、30年戦争など。
  4. 植林。

何よりも嬉しいのは、著者は大変慎重に言葉を選びつつ、これらの変化の痕跡が地名に色濃く残ると、何度も断言している。地名研究の成果と連携して、森林史がより充実すると繰り返す。「~を含む地名は」という言い回しが随所に現われる。地名のパーツとしての単語を大切にしている印象だ。それはまさに「地名語尾」を含む概念である。

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