Plattenkalk
プラッテンカルクとでも読めばいいのだが、本日はとんだ勘違いの話。始祖鳥の化石産地として名高いゾルンホーフェンの南に「Palattenkalk」と書かれていたので、すっかり地名だと思っていたら、これが大きな勘違いだった。鉱山の記号が打ってあって、その鉱山での産出物の名前だった。「板状石灰岩」のことだ。「Platten」は「平らな」という意味で「Kalk」が「石灰」にあたる。
ゾルンホーフェンは、ジュラ紀のサンゴ礁に由来する石灰岩の産地だった。薄く剥離するのが特徴で、こうして得られる板状石灰岩は、19世紀に考案されたリトグラフになくてはならない材料となった。ブラームスの時代、楽譜の表紙にはリトグラフの技法が用いられるなど、ヨーロッパ中に急速に広まった。
板状石灰岩の切り出しの過程で、貴重な化石が続々と発見された。始祖鳥と同じくらい有名なのが、コンプソグナトゥスだ。映画「ジュラシックパーク」にも登場した小型恐竜だ。始祖鳥と同じ時代に生息していたと見え、その形態は始祖鳥にも似ているらしい。最初の発見は1859年だからブラームスは存命だ。
有力な化石産地ゾルンホーフェンの郊外に、板状石灰岩の産地があるのはけして偶然ではないということだ。始祖鳥の学名は「アーケオプテリクス・リトグラフィカ」という。後半の「リトグラフィカ」はまさにリトグラフに不可欠の材料である石板に由来するということだ。勘違いのおかげで絶妙の辻褄に辿り着いた。
スペシャルコンサートまであと20日。
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