アルトミュールタール自然公園
ドイツ語では「Altmuhltal Naturapark」と綴る。ドイツ全体で101箇所ある「Naturapark」(自然公園)の一つだ。アルトミュール川の谷あいの風景が売り物。「アルトミュール」は「古い水車小屋」という意味だから、のどかな川の景色を思い起こさせる。レーゲンスブルクからドナウ川を少し遡ったところで、北側から合流する。フランケンアルプスという丘陵地帯を越えて、ローテンブルクの北東およそ10kmの位置に源流がある。「フランケンアルプス越え」の部分がアルトミュールタールの核心部になる。
さて以下の地名をご覧いただく。
- Langenaltheimランゲンアルトハイム
- Eichstattアイヒシュテット
- Riedenburgリーデンブルク
- Workerszellヴォルケルスツェル
- Steinbergシュタインベルク
これら全て同自然公園の区域内にある地名なのだが、見ただけでハハーンとなる人は、その道の愛好家に違いない。鳥類の先祖とも目される「始祖鳥」の化石発見地だった。表向きはゾルンホーフェン産と言われるが、細かくはこういうことになっている。
1番のランゲンアルトハイムは、ゾルンホーフェンの隣町だ。板状石灰岩の産地だった街の医師が、鉱夫たちからお金の代わりに化石で診察報酬を受けていたといい、その中にいわゆるロンドン標本があった。産出は1861年で後に英国がこの医師から買い取ったのだ。ダーウィンの「種の起源」が刊行間も無いこの時期、ドイツでは化石の重要さが正しく認識されていなかったので、まんまと英国にさらわれた。
その後、1877年に上記2番のアイヒシュテットで出たのが、現在ベルリンフンボルト博物館所蔵の、ベルリン標本だ。化石の価値が認識されて高騰したが、プロイセン政府が威信をかけて買い上げた。その他現代10体ほど知られる始祖鳥の化石はこの5箇所から出たものだ。
同自然公園は始祖鳥のふるさとだ。
スペシャルコンサートまであと21日。
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