アルトマルク地方
「Altmark」と綴る。ベルリンの西およそ100km、南北に流れるエルベ川西岸にシュテンダールという街がある。「Stendal」と綴る。この街の西側一帯が「アルトマルク地方」と呼ばれている。「アルト」は「古い」という意味。「mark」は地理学的には「辺境」を意味する。
「辺境」には、中心部から遠く離れた地域でありかつ、他勢力との境界線近辺を意味する。田舎のイメージはあるのだが、防衛上重要な地域ともなる。バッハが6曲の名高い協奏曲を捧げたことで有名なブランデンブルク辺境伯がいる。この「辺境伯」はドイツ語では「Markgraf」と綴る。「マルク」は辺境と和訳されていることが判る。
ある瞬間つまり地名が付与された時点での、ある勢力にとっての「辺境」だったこと疑い得ない。たとえば神聖ローマ帝国にとっての東の辺境は「オストマルク」と呼ばれ、これが「オーストリア」の語源だ。北方のデーン人たちとの境界が、今の「デンマーク」に相当する。
エルベ川の西岸一帯に「アルトマルク地方」が存在するのはとても象徴的だ。昔、ゲルマン人とスラブ人の勢力がエルベ川で隔てられていたことの反映かとも思われるが、もっと想像をたくましくするなら、ローマ帝国の最大版図がこのエルベ川に至っていた証拠かもしれない。
スペシャルコンサートまであと25日。
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