運河を行く
愛用の地図は道路地図だ。けれども運河だって几帳面に記載されている。ドイツ語では「Kanal」と綴られる。
文明は大河のそばに発達しやすいことは最早中学生にも浸透している。文明はやがて川の無いところに無理矢理運河を開削することを思いつく。人や物の移動量が増えると、陸上をテクテクやパカパカより水上を行くほうが、効率がいいと気付くのだ。
北ドイツでは川は概ね南から北に流れる。南北方向の輸送には川がそのまま便利に使えるのに対して、東西の移動は数段手間がかかる。これを数々の運河で補っているのがドイツの水運事情である。
- キール運河 ユトランド半島の付け根を東西にショートカットする。北海とバルト海を行き来するのに、ユトランド半島を迂回しないで済ます世界3大運河の一つ。
- エルベ-リューベック運河 大製塩地リューネブルクとリューベックを結ぶ塩街道に平行して掘られた。エルベ上流の物資をエルベ川で運んでハンブルクに出てしまうと、バルト海向けの貨物にはメリットが出ないことから、とても重宝。
- エルベ-ザイテン運河 2番の「エルベ-リューベック運河」が南に延長し、ミッテルラント運河に繋がっている。
- ミッテルラント運河 ライン河畔デュイスブルクから、エムス川、ヴェッサー川を東西に横切り、ハノーファーに。さらに東進してマグデブルク北でエルベを突き抜け、ハヴェル川を抜けてベルリンに至る。さらにはポーランド国境のオーデル川まで通じる。東西水運の大動脈だ。「トイトブルクの森」の古戦場の北側を東西に走っていたのは、実はこの運河だ。冷戦時代、西ベルリンへの物資供給の基盤でもあった。
- ライン・マイン・ドナウ運河 マイン川とドナウ川を結ぶ。これによって黒海と北海が水運で結ばれる夢の運河。
川の水源を地図上で追いかけていた時、川をトレースしていたつもりがいつのまにま運河をたどっていたなどということがちょくちょくあった。慣れてくると運河は不自然にまっすぐなので見分けが付くようになる。
さてさてさすがに「kanal」も地名語尾には含めていない。
スペシャルコンサートまであと19日。
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