低い山
愛用のドイツ道路地図では「▲」は「山頂」の印。日本と同じである。ドイツ最高峰のツークシュピッツェには「▲2962」と添えられていて、同峰が標高2962mであることを明示している。ドイツ国内の山でこの値を超えるケースはない。
ということは、つまりドイツ国内の山でこの値が最も小さくなる山が「ドイツで最も低い山」ということになる。愛用のドイツ道路地図には相当な数の「▲」が記載されているが、これを全部調べればよい。何もドイツ全土を隈なく見る必要は無い。低地が広がっている北部、とりわけ海岸部付近を当たればよかろうと探索を始めた。
下記の一覧表をご覧いただきたい。
- Kleiseer koog
- Grossbrensburg ペルヴォルム島
- Osterschutting ノルトストラ島
- Elizabeth-Sophien-Koog
- Ockholm
これら全て「▲」の傍らに「0」と書かれている。つまり「標高0mの頂き」だ。最初に一つ見つけたときは誤植かと思ったが、次々と5つ見つかるに及んで誤植では済まされなくなった。「▲」を打つ以上それは、周囲から少しは盛り上がった高まりである必要がある。その癖そのてっぺんが標高0mとなると、条件は限られてくる。つまり周囲の平地が海面下で、そこに確かに存在する頂きに違いない。これらこそがドイツ最低の山。
おバカな探索だが、興味深い事実も浮上した。上記5箇所はユトランド半島の付け根西側の海浜部に集中している。この一帯には地図で見ただけでも顕著な特徴がある。川と言う川がみな目一杯蛇行し、それらが運河やクリークで網の目のように結ばれている。加えて湿地を示す「青い横線」が薄皮のようにまつわりつく。それらを縫うようにして小道が伸び、そこにへばりつくように家々が散在する。「koog」「moor」「deich」「pain」など低湿地特有の地名がびっしりと並ぶ一方、耕作適地を示す「dorf」は稀にしか現れない。
現地に行かず地図だけでどれだけ妄想が広がるのだろう。
« ゼロメートル地帯 | トップページ | ウィルヘルムスヘーエ »
コメント