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2013年6月14日 (金)

音楽の創造と霊感

書物の名前。随分前に入手したが、味わってからにしようと思い、記事にするのを思いとどまっていた。

出版館ブック・クラブ刊行「大作曲家が語る音楽の創造と霊感」著者はアーサー・M・アーベル、吉田幸弘訳。2003年に「我、汝に為すべきことを教えん」という題名で刊行された書物の復刻版だ。

ウィーン在住の音楽ジャーナリストだった著者が、ブラームス、Rシュトラウス、プッチーニ、フンパーディンク、ブルッフ、グリークという6名の大作曲家に試みたインタビューの記録だ。話の核心が「作曲中のインスピレーションはどこから来るか」という点だ。

作曲当時あるいは後世の愛好家を魅了して止まない彼らの作品。作曲者の脳裏にどう去来するのかが作曲者の口から語られる。全300ページのうち120ページがブラームスのために割かれている。およそ3時間のインタビューの記録が6つの章に分かれて収載されている。インタビューに同席したヨアヒムによる補足が1章加えられる。

私の感想を3行で申せば下記の通りとなる。

  1. 興味深い ヨアヒムが驚嘆するほどの貴重な情報。クララやヨアヒムがどんなに望んでもけして語ることがなかったブラームスの本音だとヨアヒムが保証している。
  2. もどかしい インスピレーションの去来が、宗教的経験を通じて語られる。聖書に加えシェイクスピアなど文学界の巨匠の言葉が頻繁に引用されるので、こちらにその知識が無いと、味わいが半減する。
  3. 後で読もう こちらの予備知識がたまった後に再読することで、楽しみが倍増することは間違いない。

インタビューに同席したヨアヒムの言葉もかなり貴重だ。

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