サンテミリオン
1885年5月12日道中ワインの北限談義をしながらドレスデンに入った鴎外は、ドレスデン市街のシューマン酒房に立ち寄る。そこで「サンテミリオン酒一瓶を傾く」と書かれている。「サンテミリオン」とはいったいなんぞ。
注を読んで納得。「St.Emilion」だった。エミリオンの「E」のおかげで「t」が発音されて「サンテ」になったということだ。なんとこれがイタリアワインだった。パルマ付近で産出されるエミリアワインに間違いない。北緯51度上にある欧州最北の産地を通過してきたその夜に、北緯45度付近で産出されるエミリアワインを飲んでいたことになる。
鴎外がイタリアワインに言及するのはもう一箇所1886年5月29日ミュンヘンだ。この日鴎外はキアンティ(Chianti)を賞味した。トスカーナ産の赤ワインである。
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