学生歌の中のお酒
学生歌の理解を深めるために無くてはならないのが「お酒」である。学生歌が歌われるのはほとんどが酒宴の場面だ。学士会の公式な酒宴は4~5時間に及ぶという。酒宴の進行にはさまざまなしきたりがあり、場面場面で唱和される歌が決まっている。1回の酒宴で歌われるのは十数曲らしい。全員が歌詞を暗記している訳ではないから、歌集が重宝する。歌集は上製本で四隅にはビール樽に用いられる鋲が打ち込まれている。これによりテーブルに置かれた場合、卓面と歌集の間に約7mmの隙間が生じることになる。ビールをこぼしても歌集を濡らさない工夫らしい。歌集が酒宴に持ち込まれることが前提になっている。その際にビールを誰かがこぼすリスクも考慮されている。
学生歌で歌われる「お酒」は、不思議なことにほぼビールに限られる。先に紹介した本に記載された学士会用語辞典には「ビール」にまつわる語彙が圧倒的に多い。ワイン大国ドイツでもあるのだが、どうも学生歌には登場しない。
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