テレジア牧
森鴎外は1885年からドイツへ留学している。陸軍軍医としての留学だが、これが彼の文学作品に反映していること周知の通りである。彼の死後しばらくして刊行された「独逸日記」は興味深い逸話の宝庫だ。
1887年3月、ミュンヘンに居を移した鴎外は、下宿からの眺めを記述する。そこに出てくるのが「テレジア牧」だ。実はこれが現代世界最大のビール祭り「オクトーバーフェスト」の会場「Theresienwiese」のことを指す。彼の下宿はペッテンコーファー通り。ミュンヘンの地図を見るとなるほどTheresienwieseとは指呼の間だ。
そして翌年10月3日の日記にはオクトーバーフェスト最終日の賑わいが証言されていて地元の人々の飲みっぷりに驚いている。12リットル半を一晩で飲む輩も珍しくないとする一方で、自らは1.5リットルが限界だと告白する。
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