アンデックス
ブラームスが1873年の夏をすごしたミュンヘン南のトゥツイング。そこから北西におよそ12km行ったところに、アンデックスAndechsという街がある。そこの修道院が実は古くからのビールの産地になっている。1080年には既に文献に出現するほか、15世紀半ばにはビールの生産が確認されている。いわば名醸地だから、長い夏の滞在の間ブラームスが1度くらい出かけた可能性がある。褐色でアルコール度数の高いドゥンケルが有名だ。
1886年5月18日森鴎外の「独逸日記」の記述では、鴎外が友人をさそってアンデックスに出かけた様子が描かれる。ミュンヘンからシュタルンベルクまで列車を使い、そこから12kmほどの道のりを歩いたとある。途中で4つ5つの村を通ったとされている。標高80mの丘の上に修道院があり、そこの醸造管長が太っていたと証言する。働くものは皆黒い法衣をまとっていたとも書いている。まさに修道院ビールだ。
あまりにも飲みすぎたので返りは馬車だったらしい。
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