ミュンヘン宮醸
1896年1月のライプチヒでミュンヘンビールが浸透していた話は既にしておいた。実はそこからさらに11年前にも興味深い記録がある。
森鴎外の「独逸日記」1885年9月30日の記述に「ミュンヘン宮醸を飲む」と書かれている。原文のスペルは「Munchner Hofbrau」となっている。これが有名なミュンヘンホフブロイハウス宮廷醸造所のビールだと解して間違いない。
記述では銘柄は書いていない。「ボック」「ドッペルボック」「ヴァイツェン」「メルツェン」など名物ビールが多いので特定できない。
実は注目点は他にある。この時期鴎外はライプチヒ在住だった。この記述はライプチヒ市内の酒店に友人と出かけた場面だ。つまりミュンヘン特産のビールを飲ませる店がライプチヒにもあったということだ。3大ラガーはピルゼンの一人勝ちだと書いたが、ライプチヒから見て、ピルゼンの倍の距離にあるミュンヘンのビールが普通に飲まれていたという貴重な証拠だ。
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