液体のパン
ワインがキリスト教の教えの中では「キリストの血」とされ、キリストの肉体とされた「パン」とともに重要な位置付けにあること周知の通りである。
実はビールにも似た側面がある。ビールは「液体のパン」と認識されていた。酔いと清涼感を得る嗜好飲料ではなく、栄養源という側面が今よりもずっと前面に押し出されていた。修道士たちの修行で断食はもっとも厳しい難行だったが、断食中も液体は摂取できると解釈されて、ビールは断食の枠外に置かれていたらしい。
「パンとワイン」という取り合わせは「ビールとワイン」という取り合わせに容易に読み替えられた。
一方中世におけるビール製造の拠点だった修道院では、パンとビールの製造が同じかまたは隣合わせの部屋で行われていたという。どちらも製造の過程で麦と酵母を扱うということが要因だったと思われる。
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