Weihenstephan
「ヴァイヘンシュテファン」と読めばいいと思う。「シュテファン」は人名だ。人名が地名語尾になるケースは非常に珍しい。「Weihen」は「祀る」だから「シュテファンを祀る」の意味だ。ミュンヘンの北東およそ35kmのフライジンクという街の西郊にある小高い丘の名前である。
725年この地区をキリスト教化するために遣わされたコルピニアンという修道士が修道院を建設した。やがて9世紀にはビールの醸造が始まった。院内にホップ農園が併設されていたらしく、ビールへのホップ添加を最初に試みた可能性さえあるという。
この修道院こそがミュンヘン工科大学醸造学部の前身である。ドイツのビール技術者の登竜門とも聖地とも位置付け得る存在だ。ドイツが東西に分かれていた当時、西側に存在した唯一のといっていいビール醸造系の教育機関だったこともあって、志ある若者が数多く門を叩いたが、無事卒業にたどり着くのは半分に満たなかったという。
晴れて卒業するとブラウマイスターの称号が認定される。国家認定の醸造技師である。
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