リンデ製氷機株式会社
カール・フォン・リンデ(1842-1934)が1879年にウィースバーデンに設立した会社。リンデはボルジヒの機関車工場で働いた後、ミュンヘン工科学校の講師となり、1870年代初頭から商業用冷凍機の製作に注力した。その1号機により1873年に特許を取得し、当時ビールやワインの殺菌対策に追われていた醸造業界の注目するところなった。これによる急速な事業化に対応するために設立されたのが同社である。
冷凍機の普及により、ビール製造方法のうち低温発酵酵母(下面発酵酵母)によるラガービールの優位が理論的にも技術的にも確立した。明治中期の日本で相次いで創業した国産ブルワリーが、当時まだ高価だった冷凍機を続々と導入したことにより、わが国ビール業界はラガー優位の方向に大きく踏み出した。
1890年までに数百台を販売し、醸造にとどまらず、精肉や水産の業界にも浸透し、やがて到来する冷凍食品時代を準備した功績は大きい。
コメント