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2013年11月18日 (月)

ビールと産業革命

産業革命ではビールも多大な影響を受けた。1834年の関税同盟成立から始まるドイツの産業革命の中、ビール産業に決定的な影響をもたらす出来事が相次いだ。

  1. 1866年 低温殺菌法の考案。フランスのパスツールの功績。
  2. 1875年 アンモニア式冷凍機の発明。これはドイツのリンデ。
  3. 1888年 下面発酵酵母の単離精製に成功。デンマークのカルルスバーグ研究所。

この3つによりビール製造におけるラガーの優位が定着した。ビールが巨大な産業へと変貌して行くことになる。産業革命の進行により労働者が集中するルール工業地帯が、巨大なビールマーケットとなり、ドルトムントが最大の醸造都市に躍り出る。全部ブラームス存命中の出来事だが、音楽家の伝記の哀しさで、当然ながら言及されない。

とりわけ上記1と3により、発酵が科学的に解明されてゆく。発酵工程の管理により仕込みから製品が正確に予想できるようになる。ビールは酵母頼みの運任せではなくて、規格化された工業製品になって行く。装置産業ととらえて、巨大な最新プラントをフル回転させることで最大の利潤を生み出すこととなる。得てしてその最低生産量は地元の消費量を超えてしまい、製品の域外出荷が始まる。ここで大切なのは、これも産業革命の申し子である鉄道だ。馬車輸送では考えられぬような遠方へのビール供給が可能になる。地元産でないビールを売るための広告もまた重要な要素になる。発達を始めたマスコミを利用したブランドイメージ戦略の夜明けとなる。

以上、これこそが資本の論理に沿った自然な発展なのだが、ドイツだけはその論理に背を向ける。ドイツ以外の主要なビール生産国は皆同じ道筋をたどった。

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