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2013年12月31日 (火)

ケルンの範囲

ケルシュ」は法律によって統制呼称とされている。上面発酵酵母を使用して低温熟成されるという繊細な製法によって作られるのだが、ほかに産地も決められている。行政上のケルン市と一致しているわけではない。

  • 北 Dormagen
  • 東 Buchelstein
  • 南 Bonn
  • 西 bedburg

これらの街々を通る直線が作る四角形の領域内で生産されたビールだ。南北38km、東西に42kmの範囲。当然ケルンが含まれるが少し東に寄っている感じ。南端を形成するBonnは、ベートーヴェンの生地として名高いあのボンである。ほかに著名な街としてはレヴァークーゼンがこの領域に含まれる。

大晦日だというのにじっと平常営業。

2013年12月30日 (月)

ケルシュ

ケルン特産の上面発酵ビール。「Kolsch」(oはウムラウト)と断り無く用いると「ケルン方言」か「ケルンビール」の意味になる。ケルン醸造組合の協定により、「ケルン市内で醸造された上面発酵のビール」だけが「ケルシュ」を名乗ることが許される。「シャンパーニュ」以外で作られた発泡ワインが「シャンパン」と名乗れないのと同じ理屈だ。この資格を持つ醸造所がニ十数か所あるらしい。またすぐ南のボンには、同様の製法でありながらケルシュが名乗れないビールもあるらしい。「八丁味噌」みたいなものか。

ピルゼンと見分けが付きにくいほどの黄金色というのがトレードマークだ。醸造所にもよるが大変古くからビール醸造が始まっている。

1889年イ短調の協奏曲の初演がケルンで行われるなど、ブラームスはしばしば演奏旅行でケルンを訪れている。打ち上げパーティでケルシュが飲まれないとは想像できない。

2013年12月29日 (日)

原産地名称保護制度

1992年EUによって制定された食品名称保護制度。ドイツのビールでは下記の通り12種類が認定されている。

  1. Bayerischer Bier 純粋令を厳格遵守する。
  2. Bremer Bier ブレーメン。
  3. Dortmunder Bier コクとキレそこそこ。
  4. Gogginger Bier これはゲッティンゲン。
  5. Hofer Bier ニュルンベルクの北、チェコ国境至近。
  6. Kolsch ケルン特産。
  7. Kulmbacher Bier 
  8. Mainfranken Bier フランケン地方。マイン川流域。
  9. Munchner Bier バイエルンの中のさらにミュンヘン。
  10. Reuther Bier
  11. Rieser Weizenbier
  12. Wernnesgruner Bier

単に原産地名称保護といっても段階があって、一番厳しいのがPDO(Protected Designation of Origin)で、チーズやミネラルウォーターなどが対象になっている。ビールは厳しさとしては一段下のPGI(Protected Geographical Indication)だ。

醸造所の位置のほか、仕込みのレシピーなどが認定の根拠になっている。

2013年12月28日 (土)

EKU Kulminator 28

思うにアルコール度数ドイツ最高の一品。「EKU」とは「Erste Kulmbacher Union Achtiebrauerei」の略。「クルムバッハ8醸造所連合」くらいの意味。「Kulminator」は語幹「Kulm」にお決まりのドッペルボック語尾「tor」をつけたもの。この銘柄がドッペルボックだということを表している。「28」は初期比重「1,118」を糖度パーセンテージに読み替えた数値だ。

製品のアルコール度数11.8%はドイツ市販ビール最高の値だ。製品化がブラームスの没後なのが惜しい。

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2013年12月27日 (金)

パスツール

ルイ・パスツール(1822-1895)は、ドイツのコッホとともに近代細菌学の祖と仰がれるフランスの細菌学者だ。ワクチンと予防接種という体系を確立した功績はまことに大きい。

醸造学における功績もこれらに劣らない。アルコール発酵が酵母の働きであることを確認証明し、ビールやワインの酸敗を防ぐ方法を考案した。その理論構築の過程で、ビール醸造の2系統、上面発酵と下面発酵について、酸敗防止の観点から下面発酵の優位性を予言し、後にこれを証明した。1876年に著した「ビールに関する研究」は、ドイツに負けないビールを作れとばかりにフランス語で書かれていたが、フランス国内での消極的な反応に対し、隣国ドイツで大いに読まれ、ドイツビールの品質向上の理論的裏付けとなった。「科学に国境は無いが、科学者には祖国がある」と語ったパスツールには皮肉な結果となった。

ビールの製造における殺菌工程が「パスチャライゼーション」といわれるのは、パスツールの名前に由来している。

デンマーク・カルルスベルグ社の創業者ヤコブセンとは個人的な交流があり、カルルスベルグの研究所は、パスツールの理論に基づいて「下面発酵酵母」の単離精製に成功することになる。

今日はパスツールさんの誕生日。

2013年12月26日 (木)

純粋令の落とし前

原料に「大麦麦芽、ホップ、酵母、水以外使ってはならぬ」という「ビール純粋令」について回る疑問がある。小麦を使ったヴァイスビアの存在と矛盾せぬかという疑問だ。これについて歴史を遡りながら考察する。

<純粋令以前>

ビール純粋令成立前、ドイツ各地では、上記4原料以外の原料も用いられていた。副原料の使用には寛大だったと言える一方で、悪質な混ぜ物も横行していたので、それら粗悪品を取り締まる目的で、さまざまな法令が国ごとに定められていた。それらの徹底振りは一様ではなかった。問題の小麦ビールは、バイエルン地方で古くから作られていた。悪質な混ぜ物ではないれっきとした地ビールだ。

<ビール純粋令>

1516年バイエルン王国で成立。その対象範囲は当然バイエルン王国内にとどまっていた。話題の小麦ビールは現代風に申せば「上面発酵」で作られるのだが、当時はそうした区別はなかった。ビール醸造に例の4原料以外を使うなということなら小麦はアウトだが、宮廷醸造所と一部の修道院では特例として小麦ビールが作られ続けた。

<ドイツ帝国>

普仏戦争に勝利してドイツ帝国が成立した際、ドイツ全土を対象とした醸造関連法規が整備されることとなり、その中に純粋令が投影することになる。プロイセンを初めとする北ドイツでは、純粋令的にはアウトの副原料を用いた醸造が一般に行われていたから、純粋令の全国拡大は厄介な問題だった。そこで折衷案として浮上したのが醸造方法の違いに着目することだった。「上面発酵」と「下面発酵」だ。純粋令の原料制限は下面発酵でのみ有効とすることで妥協が図られたのだが、ややこしいことにバイエルン州だけは、頑なにこれを否定し、上面でも下面でも4原料に制限することになった。上面発酵で作られる小麦ビールは本来アウトなのだが特例という微妙な位置。

<ワイマール体制>

第一次大戦後に成立したワイマール体制にバイエルンが参加する際に再び、純粋令ネタが蒸し返されたが、結局従来通り、「全国:下面発酵のみ」「バイエルン:上面も下面も」という体制が続いた。やはり小麦ビールは浮いた存在のまま存続する。

<ヨーロッパ共同体>

1987年、ビール純粋令が非関税障壁と認定された。純粋令の対象範囲は、「ドイツの醸造所がドイツ国内向けに製造する場合」に限定されることになった。

<ビール酒税法>

1987年の裁定を受けてドイツ政府はビール酒税法を改正し、純粋令の考え方を取り入れた。現代まで続く以下の枠組みが法的に完成することになる。

  • 上面発酵 小麦など副原料の使用を認める。
  • 下面発酵 大麦麦芽、ホップ、酵母、水に限る。

小麦ビールの特例状態が解消されたことになるのだが、バイエルンはもっと頑なだった。小麦ビールの特例状態の解消以外は、依然として上面下面とも4原料以外は使わぬという自主対応を貫いている。ビール酒税法の記述はさておき、バイエルンだけは旧純粋令を遵守するということだ。原産地呼称維持制度上の「バイエルンビール」はそうした姿勢の追認である。

2013年12月25日 (水)

コクとキレ

ビールの味わいを言葉で表す際に多々用いられる指標。日本でも最早一般的だが、元はドイツ語である。大抵はコクとキレのバランスで表現される。ワインで申せば「酸」と「糖」かもしれない。

  1. Vollumudigkeit  コク
  2. Schneidigkeit キレ

概ねブレーメン、ベルリン、ハンブルクなどの北ドイツでは「キレ」が優先されている。発酵度を高めて餌を食いきらせてしまうから、残糖が少なくホップは多目。「ドライで苦味のきいた」ビールとなる。

ミュンヘンを筆頭とする南部は、発酵度そこそこでやや甘みを残し、ホップも控え目なので麦芽本来の芳醇な味わいを尊重している。つまりこれが「コク」だ。

そして今やドイツ最大の醸造量を誇るドルトムントは味わいの面で両者の中間に位置する。「コク」も「キレ」もそこそこということだ。

2013年12月24日 (火)

ハウストゥルンク

ドイツのビールメーカーにある慣習。全従業員が毎月78リットルのビールを現物支給される制度。日曜を抜いた毎日3L受け取れるという計算だ。足りない人には格安で販売する仕組みもあるらしい。従業員である限り、社長もその運転手も支給される量は同じだというところが味噌だ。

日曜を含んだとして一日平均2.6Lという計算になる。お父さんが飲むだけなら十分だ。そのお父さんはパブで仲間と飲むほかに家でも飲むとすれば、少々は家族に回しても大丈夫だと思う。

従業員に支給されるそれらのビールは、メーカー別出荷ランキングには反映していないそうだ。

2013年12月23日 (月)

スピットファイア

英国空軍の名戦闘機の名前だ。1840年7月から10月にかけて繰り広げられた「バトルオブブリテン」(Battle of Britain)を英国勝利に導いた一因とされている。英国本土上陸を目指すその準備として英仏海峡の制空権確保を図るドイツ空軍と、それを阻止せんとする英国空軍の戦いを「バトルオブブリテン」という。ドイツが目的達成に至らなかったという意味で英国の勝ちと評価されている。

その戦いから50周年を記念して、ケント州のシェパードニームという醸造所から発売されたのが「スピットファイア」という銘柄だ。同醸造所は1698年創業なので英国では古い部類に属する。味わいは上品なエール。

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ネックの部分を良く見ると、実機スピットファイアのシルエットの下に「Bottle of Britain」と書かれている。「ボトルオブブリテン」は明らかに「バトルオブブリテン」を引っ掛けた言い回しだ。「英国の戦い」と「英国の一本」くらいのニュアンス。おまけに王冠のデザインは英国空軍機が翼に描くマークになっている。

プラモデル好きにはたまらない逸品。

2013年12月22日 (日)

その子二十歳

与謝野晶子先生の絶唱。

その子二十歳櫛に流るる黒髪のおごりの春の美しきかな

今日長女二十歳。

2013年12月21日 (土)

岩倉使節団とビール

明治になって、日本に雇われた外国人の本国を調べると英国が他を圧倒している。だからそうした英国人のニーズをまかなうために英国製のビールが多く輸入された。バートンのパス社のものが一番人気だったらしい。

1871年に英国を訪問した岩倉使節団は、同じバートンにあるオーソルップ社の最新鋭ビール工場を視察している。工場の周囲をグルリと一周すれば20kmあり、場内を蒸気機関車が走っていると驚いている。

さらに旅を続けた一行はプロイセンに入る。ドイツ人のビールの飲みっぷりに驚いている。当時プロイセンの人口一人当たりの年間ビール消費量は400リットルで、英国の4倍だ。パブでじっくりと飲む英国に比べて、大勢で車座になって一気飲みばかりのプロイセンの酒量は半端ではない。もっというとバイエルンの年間平均消費量はプロイセンよりさらに多くて465リットル/人だった。

岩倉使節団の報告書「米欧回覧実記」で、ビールの詳しいコメントがあるのは英国とプロイセンだけだが、詳しい製法や味についての記述が無いのが残念だ。

2013年12月20日 (金)

ラーツケラー

ドイツ語「Ratskeller」と綴る。市庁舎「Rathaus」の地下に設置されたレストランのことだ。どんなに小さな都市でもここでは地元自慢のビールが供される。ドイツ全土の醸造所は数千といわれ、昨今は吸収合併も珍しくないと聞く。ラーツケラーで供されるビールは、無論一種類とは限らぬが、いわゆる「市のオフィシャルビール」だと思っていい。

観光に訪れた際、とりあえず市庁舎を目指すという手はある。

2013年12月19日 (木)

エアブロイ

「Airbrau」と綴る。創業は2004年だからブラームスは当然ながら賞味していない。ミュンヘン国際空港の第一ターミナルと第二ターミナルの間に位置する。ビアガーデンも設置され待ち合わせ客でにぎわっているという。駅前の醸造所ならいくらも見かけるが、空港内に醸造所が併設されているというのは、ミュンヘンならではだろう。ラガーとヴァイツエンというシンプルな品揃えだ。

ミュンヘンに立ち寄る予定の方はご記憶を。

2013年12月18日 (水)

アイスビール

「Ice Beer」と綴る。見ての通り英語だ。凍らせたビールから氷を取り除くと結果としてアルコール度数が上がる。氷と一緒に雑味成分も除去されることが多く、すっきりとした味わいになるらしい。バイエルンのクルムバッハで製造される「Eisbock」も同様だ。

ワインの世界では、意図的に収穫を遅らせ、自然の寒気によって凍らせたブドウから作るワインを「アイスヴァイン」と呼んだ。ほぼドイツ特産だ。凍結により原料果汁の糖度を上げるのが目的だった。アイスビールといっても原料の大麦やホップを凍結させるわけではない。

クルムバッハのアイスボックをブラームスが賞味できたかどうかは不明。現在ビールの凍結は自然の寒気に任せてはおけないから、冷凍機が必須になる。アイスボックが冷凍機考案以前に、つまり自然凍結によって製造されていたかどうか不明だ。

2013年12月17日 (火)

ベルリナーヴァイツェン

「ベルリンのヴァイシェン」だ。「ヴァイシェン」は「Weissen」で「小麦ビール」だから、「ベルリンの小麦ビール」とでも解されよう。ドイツの首都ベルリンの名物だ。小麦麦芽が20%から時には50%以上配合される。乳酸菌由来の酸味とともに果実のシロップを入れてストローで味わうという独特なビールで、ナポレオン軍の兵士たちから「北のシャンパン」とあだ名された代物だ。

ブラームスは何故かベルリンが苦手で、必要以上に滞在しようとしなかったらしい。ジムロックの本拠地はベルリンだし、ヨアヒムもベルリンに住んだから、縁が無いとも思えないが、ベルリンの滞在を最小限にしようとした痕跡がある。

フュルステンベルクという北ドイツ最古のピルゼンもあり、数少ないベルリンの夜にビールをたしなんだ可能性は高い。ワインよりはるかに現実味がある。

2013年12月16日 (月)

アルトビア

ビール王国の座を英国から奪取したバイエルンの原動力が下面発酵ビール「ラガー」だった。その後チェコ・ピルゼンの台頭を許したとはいえ、いまでもバイエルンビールの牙城は揺るがない。ところが、ドイツ中のビールが下面発酵ビール一辺倒にもならないという多様さこそがビール王国ドイツの由縁だ。

英国でいう上面発酵ビール「エール」もしっかりと各地で生産されている。これらが総称されて「アルトビア」となる。「Altbier」と綴る。下面発酵ビールよりも起源が古いことから「古いビール」という意味だ。単に「アルト」で「アルトビア」を指す場合もある。

もっとも代表的なのがデュッセルドルフの「アルトビア」だ。1853年10月ブラームスはここデュッセルドルフにあったシューマン邸を訪れ、歓待される。その後1ヶ月滞在した。そして1854年2月のシューマン投身の後およそ2年間当地で過ごしている。その間アルトビアを賞味しなかったはずは無い。

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写真はデュッセルドルフの代表的アルトビア。

2013年12月15日 (日)

ルス

「Russ」綴る。ロシアのことなのだが、ビールネタの文脈の中では別の意味が生じる。「上面発酵ビールのレモネード割り」のことだ。

1918年ミュンヘン、第一次大戦末期のドイツ革命の波の中、レーテ共和国支持者の集会が居酒屋で開かれた。このときビールの不足を補うためレモネードで薄めたビールが供されたところ、意外においしかったために広まったとされる。当初レーテ共和国は社会主義者の革命から生まれたから、本場のロシアの名前がその飲み物の名に転用されたと説明される。

同じレモネード割りでもハンブルクでは「アルスターヴァッサー」(アルスター湖の水)と呼ばれていることは既に述べたが、ここにささやかな疑問もある。

アルスターヴァッサーは、下面発酵ビールにレモネードを加えるのだが、ミュンヘン起原のルスは、上面発酵ビールがベースになる。ご当地ミュンヘンは下面発酵ビールのメッカだ。上面発酵ビールはミュンヘンにおいては少数のはず。可能性としては小麦ビールヴァイツェンだ。これならば上面が主流だから説明がつく。最初からヴァイツェンのレモネード割りと説明されれば話が早い。

2013年12月14日 (土)

レーマーピルス

「Romerpils」(oはウムラウト)だ。フランクフルトのビンディング社のブランド名なのだが、スペリングから判断した直感では「ローマのピルス」に見える。「ピルス」は淡色ラガーで全欧州を席捲したチェコの街ピルゼンに由来するビールのスタイルだから、「ローマ人のピルゼン」とでもなるのだろうが少々異質。

ところが思わぬところから解決のヒントがもたらされた。「Romer」というのはフランクフルト市庁舎の愛称らしい。「レーマーピルス」は「フランクフルトのピルス」程度の意味になる。どうなることかと思った。

フランクフルトはクララが晩年を過ごした街だから、ブラームスもしばしば訪れている。しっかり者のマリエは、ブラームスを「レーマーピルス」でもてなした可能性無しとしない。

2013年12月13日 (金)

ビール恋しや

ワーグナーの伝記を読んでいると「パリ時代」と呼ばれる時期がある。1839年9月から約2年半だ。自作を上演したいとの夢を持ってパリに進出したが、なかなか話が進まず、友人に愚痴をこぼしている。

匿名で執筆したあるエッセイで、フランスのよくない点を列挙した後、「それに引き換え」というニュアンスで、ドイツの長所に言及する。「情緒がある」「ジャン・パウルがいる」「哲学やシュトラウスのワルツの話題で盛り上がる」など、ほとんど言いがかりにも見える中に、「バイエルンのビールがある」と言っている。

これがなかなか象徴的だ。フランス生活の中でドイツ恋しいの気持ちがエスカレートし、思い出すのがバイエルンのビールだということだ。バイエルン王ルートヴィヒ2世との交流に加え、聖地バイロイトがバイエルン州にあることから、ワーグナーといえばとかくバイエルンのイメージが強いが、このパリ時代はまだバイエルンとの絆は生じていなかった。それでいてなお「バイエルンのビール」と言っているところがポインドだ。

ビールといえばバイエルンなのだ。

2013年12月12日 (木)

12という霊数

音楽愛好家にとって「12」という数はちょっとした位置づけ。1オクターブは12個の半音で成り立つ結果、バッハはそれらを長短に分けて平均律クラヴィーア曲集を書いたし、シェーンベルクの12音技法にも連なる。

19世紀後半に世界を席巻したピルゼンのビールにも「12」にまつわる不思議な話が集中する。

  1. 原麦汁濃度 12%。麦芽を乾燥させたものを水に溶く。このときの糖度のこと。酵母の作用が始まる直前の濃度だ。
  2. 仕込み時間 12時間。
  3. 主発酵時間 12日間。
  4. 貯酒期間 12週間。
  5. クロイゼン 貯酒開始の12時間後。貯酒の初期に発酵開始期のビール(若ビール)を加えて発酵を推進すること。

12%、12時間、12日間、12週間、12時間という具合に、工程の中で「12」ばかりが強調される。それで今日は12月12日だ。一年前の2012年だったら完璧だったのだが、次女のオーケストラ関連記事が膨張したおかげで、ビスマルク特集が圧迫され、昨年公開予定のビール特集が1年延期された。延期は簡単に決断できたが、この記事が2012年でなくなるのだけが、気がかりだった。

2013年12月11日 (水)

忘年会ラッシュ

サラリーマンの12月にありがちな現象。忘年会が連日続くことを指す。森鴎外の「独逸日記」にも同様の箇所を見つけた。ザクセン王国の首都ドレスデン滞在中の1885年の年末だ。

  • 12月11日 ザクセン王国軍医監ロートと飲む。場所不明。小麦ビール。
  • 12月12日 ロート、キルヒホフと酒亭ショプフネルで飲む。
  • 12月13日 軍医正ニコライ等とアンゲルマン酒店でビール。
  • 12月14日 医師、弁護士らとカフェポラエンダーにてビール。
  • 12月15日 ホテルフランスで三等軍医ラアデストックとビール。
  • 12月17日 衛戎病院のカジノで飲む。忘年会か。
  • 12月18日 軍医正ニコライに呼ばれて猟兵大隊のカジノで飲む。
  • 12月19日 アウセンドルフ酒店でショオンブロウト中尉と飲む。
  • 12月20日 早川大尉とアンゲンルマン酒店で飲む。

休肝日は16日だけだ。さまざまな人から誘いを受けそれに嬉々として応じている感じがする。鴎外は相当いける口だったと思われる。日記に記述が無い日でもビールは飲んだと思われるから、実際にはもっともっと飲み会があったと考えてよさそうだ。

2013年12月10日 (火)

ブルメナウ

記事「ブラマ」に関連してブラジルのビール事情を調べていて興味深い地名に出会った。サンパウロの南西およそ400kmにブルメナウという街がある。周辺の地名と比べると明らかに浮いた語感だ。スペルは「Blumenau」だ。ドイツ語で読めば「花Blumen」に水辺語尾「au」の合成とも映る。優雅な名前である。

調べていたら案の定な情報を掘り当てた。ここは1850年9月に18名のドイツ移民によって開かれた街だった。現在およそ30万ほどの人口だが、ドイツ系の住民が多く、ビールやドイツ料理が名物になっているばかりか、町並みもドイツっぽいという。

水辺語尾だから川に近い。だから1984年に洪水に見舞われた。被害から復興を願って住民たちはイベントを企画する。故郷ドイツにならったオクトーバーフェストを開催したのだ。何から何までドイツ風な街。

サッカーワールドカップブラジル大会に挑むドイツ代表がブルメナウでキャンプを張ったら面白い。

2013年12月 9日 (月)

猫の死因

森鴎外と並び称される文豪・夏目漱石の代表作「我輩は猫である」の主人公は猫だ。猫の視点から人間模様を描写するという構成になっている。物語の最後で主人公たる猫は、瓶にはまって死んでしまう。

その直前、猫はビールを飲んでいる。ご主人を含む数名の宴会で供されたビールの飲み残しを飲んだという設定だ。これが原因で本来ならはまるはずのない瓶にはまったかの因果関係を感じさせる。

漱石自身があまり酒に強くなかったらしく、彼の創作する人物の描写にもそれが反映する。ドイツに留学した森鴎外が、「独逸日記」の中で盛んにビールに言及するのとは大きな違いだ。

今日12月9日は漱石の命日にあたる。

2013年12月 8日 (日)

ブラマ

ブラジルでよく飲まれているビールの名前だ。その起源は1890年代に遡るという。ドイツ移民やその子孫たちによって生み出されたらしい。ピルゼンタイプのラガーだそうだ。ブラジルにおける商業的なビールの生産は1853年に始まったという。

スペルを調べていて驚いた。「Brahma」だ。わずかに1文字違いである。

ビール界の巨人アンホイザーブッシュインベブのブラジル側基幹ブランド。ブラジル最大手のアンベブ社のフラッグシップブランド。

来年の6月に開幕するサッカーのワールドカップブラジル大会の組み合わせ抽選が昨日行われた。

<グループC>

コロンビア、コートジボアール、ギリシャ、日本

気になるドイツは微妙に厳しくて

<グループG>

ドイツ、ポルトガル、ガーナ、アメリカ

2013年12月 7日 (土)

最初の積荷

1835年12月7日。ドイツ最初の鉄道がニュルンベルク-フュルト間に開通した。式典では国王をはじめとする華麗なメンバーが最初の乗客になった。一方で貨物も積まれた。ドイツ鉄道史上最初の積荷だ。

その積荷とは、ビール樽2個だった。ビールと鉄道の濃い関係を思うとき一際感慨深い。ラガーの台頭により、ドイツビールの優位が確立し始めた時期。ピルゼンの発明は1842年だった。ドイツ鉄道の勃興とビールの振興は同時並行に進んだということだ。そして何よりそれはブラームスの生きた時代と完全に重なっている。

2013年12月 6日 (金)

ビール関連姓

ビールがいかにドイツの生活になじんでいるかを別の角度から検証する。ビールやビール製造に関わる苗字をアルファベット順に列挙する。

  1. Bier そのものズバリ「ビール」を意味する姓。醸造家、商人、居酒屋等の職業姓だ。
  2. Bieraugel ビール醸造権を持つ市民。
  3. Bierbaum ビールのなる木ではありません。これはビールと関係なくて梨「Birn」からの転訛だけど勢いで掲載。
  4. Bierbrauer 文字通りビール醸造家。
  5. Bierdimpfel こちらはビール飲み。消費する側。
  6. Bierei ⇒Bieaugel
  7. Bierfreund これもビール飲みの意味だが愉快。
  8. Bierhahn ビール樽に取り付けられるコック。転じて酒飲み。
  9. Bierhake ビールの小商人。
  10. Bierhals ビール飲みの意味。「Hals」は「のど」だ。
  11. Bierhof ビール屋敷か?著名なサッカー選手がいた。
  12. Biermann 商人か居酒屋。
  13. Biersack 文字通りなら「ビール腹」だ。
  14. Bierschenk 飲み屋の主人。
  15. Bierschroder ビール運送業。
  16. Bierschwal 大酒飲み。
  17. Bierwagen ビール輸送用ワゴン。
  18. Bierwert 居酒屋の主人。
  19. Fass 樽の意味。
  20. Fassbander 樽職人、桶職人。高名な歌手がいた。
  21. Fasser 樽職人。
  22. Fasshauser 樽職人。
  23. Fasske Fassのスラブ型変化形。
  24. Fassle Fassのシュバーベン型変化形。
  25. Fassmann 樽職人。
  26. Gerst 大麦。ビールばかりとは言えないが一応。
  27. Gerstacker 大麦農家。 
  28. Hopf ホップ農家またはホップ商人。
  29. Hopfner ⇒Hopf
  30. Hopfner ⇒Hopf
  31. Hopp ⇒Hopf
  32. Hoppen ⇒Hopf
  33. Malz モルト。
  34. Malzer モルト製造者転じてビール醸造家。
  35. Molz モルト。
  36. Wasser 「水」はビールのベースなのだが、苗字になると船乗りや漁師に近い意味になっていて、醸造とは無関係。
  37. Wurz 薬草やスパイスの製造者または商人由来だが、麦芽汁の意味もあるのでもしかすると醸造に関係があるかもしれない。

上記の苗字はすべて実在する。

  • 2013年12月 5日 (木)

    ビール関連地名

    「Bier」で始まる地名は意外に少ない。愛用の地図の索引では下記の通りだ。

    1. Bierbach ザールブリュッケンの東25km。すぐ北に名高いビール会社Karlsberg社のあるホンブルク市がある。
    2. Biersdorf Bitburgの北10km。ドイツ随一のビール名醸地のそば。
    3. Bierstedt ヴォルフスブルクの北北東55km。

    酵母「Hefe」はドイツ語における語感が悪いせいか、地名にも人名にも見かけない。ホップ「Hopfe」には以下の実例がある。

    1. Hopfen ノイシュヴァンシュタイン城の北西7km。
    2. Hopferau ノイシュヴァンシュタイン城の北西10km、
    3. Hopfgarten ワイマールの西7km。
    4. Hoppenrade シュヴェリンの東北東75km。
    5. Hoppenrade ベルリンの西北西35km。
    6. Hoppstadten カイザースラウテンルンの北北西35km。
    7. Hoppstadten カイザースラウテンルンの北北西55km。
    8. Hopsten オスナブリュックの北西50km。

    ミュンヘン北方のハラタウ地方は世界に冠たるホップの生産地なのだが、ホップのつく地名があまり見当たらない。もっと詳しい地図にならあるかもしれない。そもそもそこいら中がホップ農園の場合、ホップ関連地名はつけにくいだろう。地名は他との区別が第一の目的だからだ。周囲にホップ園が無い中、そこだけがホップ園の場合の方が地名になりやすいかもしれない。

    2013年12月 4日 (水)

    ビール関連単語集

    ドイツ語において「Bier」が関連する単語を集めてみた。

    1. Bierabend ビールパーティ。
    2. Bierarsch 大きな尻。
    3. Bierbank ビアホールの腰掛。
    4. Bierbankpolitiker 居酒屋政談家。
    5. Bierbass 低音の声。
    6. Bierbauch ビール腹。
    7. Bierbecher ビアグラス。
    8. Bierblume ビールの泡。
    9. Bierbrauer ビール醸造家。
    10. Bierbrauerei ビール醸造所。
    11. Bierbruder 飲み仲間。
    12. Bierchen とびきりのビール。
    13. Bierdeckel コースター。
    14. Bierdose 缶ビール。
    15. Bierdorf  無礼講。学士会の語彙。
    16. Biereifer 張り切り過ぎ。
    17. Bierernst くそ真面目。
    18. Bierfahne ビール臭い息。
    19. Bierfahrer ビール配送運転手。
    20. Bierfass ビヤ樽。
    21. Bierfilz コースター。
    22. Bierflasche ビール瓶。
    23. Biergarten ビアガーデン。
    24. Bierglass ビアグラス。
    25. Bierhalle ビアホール。
    26. Bierhefe 酵母。
    27. Bieridee ビールを飲みながらの下らぬ思い付き。
    28. Bierkeller ビール貯蔵庫。転じて地下のビアホール。
    29. Bierkrug ジョッキ。
    30. Bierkrugel ジョッキ。主にオーストリアで。
    31. Bierkutscher ビール運送馬車の御者。
    32. Bierleiche ビール死骸。⇒酔いつぶれた人。
    33. Bierlokal ビアホール。
    34. Bierreise はしご飲み。ビールツアー。
    35. Bierruhe 泰然自若
    36. Bierschaum 泡。
    37. Bierschenke 小さなビアホール。
    38. Bierseidel ガラス製ジョッキ。
    39. Bierselig ほろ酔い気分。
    40. Biersteuer ビール税。
    41. Bierstube 小さなビアホール。
    42. Biersuppe ビールスープ。
    43. Biertonne ビア樽。
    44. Biertulpe チューリップ型ビアグラス。
    45. Bieruntersatz コースター。
    46. Bierverlag ビール卸業。
    47. Biersilberner ビール小売業。オーストリア。
    48. Bierwaage 比重計。
    49. Bierwagen ビール運搬車。
    50. Bierwirt ビアホールの主人。
    51. Bierwirtschaft ビアホール。
    52. Bierzeitung こっけい新聞。
    53. Bierzelt 露店ビアホール。⇒ビアガーデン。

  • 2013年12月 3日 (火)

    泰然自若

    ドイツ語の単語の中で一番好きなのが「ruhe」だ。辞書を引くと「休息」「静養」「静けさ」「平安」と書いてある。この語感がとても気に入っている。実例を以下に列挙する。

    1. 「人名+ruhe」で地名になる。1876年11月4日、第一交響曲はカールスルーエで初演された。「Karlsruhe」である。
    2. 同じく地名。ウィーン郊外のハイリゲンシュタット近郊に「Beethovenruhe」がある。ベートーヴェンの散歩コースの途中にあって休息した場所だと伝えられる。
    3. さらに地名。ハンブルク郊外のフリードリヒスルーにはビスマルクの屋敷があった。これは「Friedrichsruh」と綴る。語尾の「e」が脱落した形。
    4. 最愛の歌曲「Feldeinsamkeit」op86-2は冒頭「Ich ruhe still」と歌い出されて立ち上がる。
    5. ドイツの特急列車では携帯の通話が禁じられた車両がある。これをチケットの自販機で選ぶとき「Ruhe」のボタンをタッチする。

    そしてビール関連単語「Bierruhe」だ。「ビアルーエ」とでも読むのだろう。これで「泰然自若」の意味だ。いやはや素晴らしい。しこたまビールを飲んでもケロリとしている状態なのだと推測する。知人たちは一様にブラームスがかなりの量のビールを飲んだと証言する。大抵はその旺盛な食欲にも言及する。そしていつも愉快なおしゃべりに興じたとされている。これらの証言の原文が「Bierruhe」を含む表現だったのか未確認だが、ますます「ruhe」が好きになった。

    2013年12月 2日 (月)

    ビアドルフ

    「Bierdorf」と綴られる。「Bier」は「ビール」で、「dorf」は「村」だから、どこかの地名かと早合点していはいけない。学士会用語で「無礼講」のことだ。

    学士会の酒宴の流れを説明しなければならない。学士会の酒宴はおおよそ下記の3部に分かれる。

    1. 正式の宴 幹部、OB会員、来賓のスピーチを中心に拍手や歌が挟まれる。儀式の色彩が強く、厳格な作法にのっとって進んでゆく。
    2. 非公式の宴 歓談と余興。
    3. 無礼講 深夜から始まる。これが「Bierdorf」と通称される。通常の辞書には載っていない。

    一昨日、大切な仲間の海外赴任への壮行会があった。

    学士会の酒宴そのままに、3段階あった。18時開宴の一次会は、総勢17名参加。乾杯に始まる2時間半。サプライズを適当にはさみ、送別の品物贈呈、主役のスピーチを経て、3本締めに終わる。スペースに余裕のある個室。上記で申せば「正式の宴」だ。

    二次会にも同数が流れた。今度はキツキツの個室。歓談が主体の「非公式の宴」に相当する。この2次会が終わったのがおおよそ22時半。二次会途中から駆けつけた仲間が飲み足りないだろうとの口実で、三次会に。

    驚くことに23時からの三次会にも16名が残った。いい大人が子どもに戻ってしまったよう。集まりが終わってしまうのをみんなが恐れていた。帰りたくないのだが、終電が迫り仕方なく家路についた。本来この3次会が「Bierdorf」となるのだが、無礼講というノリだけなら一次会から実現していた。

    この壮行会までのおよそ3週間の準備が楽しかった。サプライズや贈り物の準備など、関係者のアイデアと熱意が圧倒的だった。みんながみんな「今夜は飲むぞ」という気合で集まっているので、三次会突入も当然と言えば当然。壮大な「Bierdorf」だった。

    2013年12月 1日 (日)

    ハイネケン

    「Heineken」と綴るオランダ最大のビール会社。1864年オランダ・アムステルダムで創業した。主力製品はラガー。多数の子会社を抱えた巨大企業で、米国の輸入ビールのナンバー1らしい。緑のラベルでおなじみで日本でもよく見かける。オランダは国土も狭く人口も1500万人程度なので、国内市場が大きくない。だから早くから欧州各地やアメリカに販路求めて国際化を推進してきた。

    ドイツ産なのにブラームスが賞味していないビールもある一方で、このオランダ製ビールはブラームスが飲んでいた可能性大だ。ブラームスはしばしばオランダを演奏旅行で訪れている。アムステルダムでは大抵盛大な歓迎を受けた。アムステルダムを訪れてハイネケンを飲んでいないとは考えにくい。

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