ルス
「Russ」綴る。ロシアのことなのだが、ビールネタの文脈の中では別の意味が生じる。「上面発酵ビールのレモネード割り」のことだ。
1918年ミュンヘン、第一次大戦末期のドイツ革命の波の中、レーテ共和国支持者の集会が居酒屋で開かれた。このときビールの不足を補うためレモネードで薄めたビールが供されたところ、意外においしかったために広まったとされる。当初レーテ共和国は社会主義者の革命から生まれたから、本場のロシアの名前がその飲み物の名に転用されたと説明される。
同じレモネード割りでもハンブルクでは「アルスターヴァッサー」(アルスター湖の水)と呼ばれていることは既に述べたが、ここにささやかな疑問もある。
アルスターヴァッサーは、下面発酵ビールにレモネードを加えるのだが、ミュンヘン起原のルスは、上面発酵ビールがベースになる。ご当地ミュンヘンは下面発酵ビールのメッカだ。上面発酵ビールはミュンヘンにおいては少数のはず。可能性としては小麦ビールヴァイツェンだ。これならば上面が主流だから説明がつく。最初からヴァイツェンのレモネード割りと説明されれば話が早い。
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